ケアカレッジ「介護のココロのケア」担当、グリーフケアアドバイザーのマミコです。
「なんであのシーンであんな言葉を言ってしまったのだろう?」
「どうしてあの場で”うん”って言わなかったんだろう…」
もう考えたくないのに、思考のお喋りが鳴りやまずネガティブに取りつかれ、グルグル同じことを考えてしまうのがつらいときってありませんか?
私はよくあります。
これは「反芻思考」と呼ばれるもの。
反芻とは、羊や牛などの哺乳類が一度食べて胃に送り込んだ食べ物を再び口に戻し、繰り返し咀嚼することを指す言葉。
思考し終えたはずのことを何度も繰り返し引っ張り出し、考えたり落ち込んだりする行動が「反芻に似ている」ことから「反芻思考」と呼ばれるようになりました。
反芻思考は男性よりも女性の方が陥りやすいと言われていますが、性差関係なく「後悔や挫折」の経験があれば、そのことが頭にこびりついて離れずにグルグルする…という体験はあると思います。
嫌なことがグルグルするのは、不快で、重たくて、考えるのをやめたいのにやめれなくて苦しくて。
反芻思考のつらいところは「自分がもう手出しできないこと」「自分にはコントロールできないこと」を延々と思い悩むということ。
問題は、解決策が見えれば楽になりますが、反芻思考に陥っている時には解決の糸口は見いだせず、ネガディブなことが雪だるま式に膨らんでつらくなるばかり。
これでは時間と自分のエネルギーが削られていくばかりで、脳もどんどん疲弊します。
疲弊すれば前向きに考えることも出来なくなり、より反芻思考が深まっていくという負のループに…
反芻思考が強くなり過ぎると、不安からうつてきな症状につながってしまうこともありますし、不眠・注意力や集中力が低下して空回りが増え、そのことをまた反芻して考えて落ち込むという悪循環から抜け出せなくなってしまいます。
ということで! ← ん?どういうこと??
思考がグルグルしてしんどい状態を和らげる方法のうち、今日は簡単な2つの方法をご紹介したいと思います。
反芻思考を和らげる「アナウンサー憑依の術」
反芻思考が始まってグルグルしていることに気付けたら、そこから一歩離れて「思考の渦に飲まれている自分を俯瞰に見る」のがオススメです。
そのために、自分のことを密着報道するアナウンサーを憑依させて、自分の頭の中で起こっていることを淡々と原稿に落とし込むように
「今、私は、仕事でミスした件について原因を探しています」
「LINEの返事が遅くなり、彼を怒らせたことで気落ちして自己否定しています。激しく自分を嫌っているようです。」
などなどと書き出してみましょう。
できれば、アナウンサーのように淡々と声にして、感情を交えずに「現在思考していることを実況中継する」のがオススメなのですが、人がいるときには紙に書き出したり、頭の中で考えるだけでもOKです。
俯瞰で見て、自分が何を思考しているのかを表出させる「アナウンサー憑依の術」は、反芻思考を止めることを目的としていません。
まずは「自分が反芻思考で考えていることがある」ということに気付くこと。
そして、自分が何を思考しているのか?という目線を持つ(客観視する)というのは、一歩思考から離れないとできないこと。
客観視することで、思考とほんのちょっとでも距離を取ることができると、だんだんと冷静になっていけて、反芻が和らいでいきます。
繰り返し練習して「出たな!反芻思考!!」とやっていくうちに、反芻自体が減るという特徴もあります。
これは『メタ認知』を使う反芻を押さえる方法なのですが、認知療法とも少し似ている作業。
自分がパニックや不安という強い力の中に巻き込まれている時に、「今の状態」を観察する視点を持つことで、渦の中から外に出ることができ、それだけで苦しみから少し距離をとることができるようになります。
ダイエットも出来ちゃう?!3分間ダンシングで反芻思考撃退術
生涯現役の医師として活躍され、2017年に105歳で亡くなった日野原重明さんが、「明日はきっと、いい日になる。(PHP編集部 編)」という本の中で、このような言葉を書かれていました。
人間は、身体を動かしながら考えることができません。階段を駆け上がりながら、あるいはジョギングをしながら、あれこれと悩むことなどできないのです。
マイナスの気持ちを変えたいと思ったら、とにかく身体を動かしてみることを勧めします。ストレス解消や悩みの撃退には、運動が一番なのです。
(引用:明日はきっと、いい日になる。/(HP編集部 編)
ほんとにー?!
と思ったのですが、これが「ほんとだ…」と思ったのは、愛犬のお散歩のときでした。
ある日のことでしたが、いつも歩くお散歩コースを「一体何歩かけて歩いているんだろう?」と思い、1.2.3.4…とひたすら歩数を数えて歩くことをしてみました。
が…
これ、途中で何か考え事しようとすると歩数のカウントは飛びそうになるし、歩数を数えて記憶するという「思考」そのものが、動いているとスコンと抜けそうになったり、曖昧になってビックリ。
たかが「数を数えて記憶する」というだけの単純な思考すら、体を動かすことをしていると難しくなるんだと思い、その時に改めて日野原先生のこの言葉を思い出して「ほんとだーーー!」と感激しました。
今はYouTubeなどで、1~3分くらいで手軽にその場で出来るダンスやエクササイズの動画がいっぱいありますよね。
自分がネガティブな思考の沼に落ちていると思ったら、それらを活用して「ちょこっと体を動かしてみる」のも、反芻思考を中断させるのにとっても役立ってくれます。
まずはグルグル思考しながらでいいので、楽しそうだなと思うものや、これならできそうだと思うダンス動画を見て、一緒に踊り出しちゃいましょう。
手が上で、足は後ろから前に動かして、右に2回…えっ?あれっ?
っと、お手本を見ながら体を動かすことに意識が集中すると、いつの間にかグルグルしていた思考を続けることが出来なくなります。
1分くらいでは根強い思考が頭にこびりついているかもしれませんから、2~3分くらいの「軽く息が上がる」くらいのダンスをするのが個人的にはオススメ!!
踊り切って体が少し疲れると、不思議な達成感で気分がちょっと高揚します。
おまけに、たった3分とはいえカロリー消費もできちゃうので、日々継続してみたらメリハリボディまで手に入ってしまいます!!
反芻思考をしている時には、気分はネガティブで落ち込みがちですから、一度気分をあげてしまうと「また反芻思考をするにしても、ちょっとエンジンをかけないと難しくなる」ので、色んな意味で元気に動いてみるのは一石二鳥的な感じがしています。
【おまけ】
私はあまりに思考し過ぎでしんどいときに、鏡の前で全力で「見よう見まねのオタ芸風な動き」をすることにしています。
自分の振り切った姿に笑いがこみ上げると同時に、全身を使って動くので意外と疲れて、「アホだ―」と脱力して思考を停止させることができるので、こちらもよければぜひ…。
* * *
反芻思考はほおっておくと、どこまでも広がって、どこまでもズブズブと沼に落ちていく感じで苦しくなってしまいます。
自分を救い出すために、思考を客観視してみたり、ぴょんぴょん元気に踊ってみることで気分転換することで、自分をグルグルした苦しい思考から助け出してあげることが出来ますので、もしよかったらお試しくださいね!