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介護福祉士国家試験合格必勝法 介護福祉士受験対策講師 板垣大介

第35回介護福祉士の国家試験の合格率が84.3%と過去最高を記録しました。第34回に比べ12.1%増加しています。しかし合格点は75点と例年並みでした。このことから分析すると、出題者の考えていた難易度と受験者の感じた難易度に違いがあったように感じます。第35回から新カリキュラム対応となり、変更点があったことも合格率の高さの要因となったと感じています。その点を少し触れていきます。

1つ目は午前と午後の出題科目が変更となりました。 

※色付きが変更科目です

午前:

  • 人間の尊厳と自立
  • 人間関係とコミュニケーション
  • 社会の理解
  • 発達と老化の理解
  • 認知症の理解
  • 障害の理解
  • こころとからだのしくみ
  • 医療的ケア
  • 午後:

  • 介護の基本
  • コミュニケーション技術
  • 生活支援技術
  • 介護過程
  • 総合問題
  • 医学的な知識が求められ点の取りにくい「こころとからだのしくみ」の分野が午前科目に移ってきました。そのため受験者の心理面から午前で難しい科目があることで、「ダメかも…」というダメージを引きずったまま午後に臨むことになることが予想されます。

    逆の発想をすれば、午前科目を攻略すれば、合格が近づくことになります。私は国家試験対策においては難しいとされる午前の科目については毎年出題パターンが決まっているので、勉強すればするだけ点数が伸びる科目になっていると受験生に話をしています。問題を繰り返し行うと、似た選択肢が出るので質より量が点数アップの鍵だと思います。また午前に難関科目があることで集中力が持続できることも科目変更のメリットだと考えています。実はこの変更は受験生にとってメリットの方が多いように感じています。

    2つ目は科目の問題数の変化です。

    「人間関係とコミュニケーション」が2問から4問へ、「コミュニケーション技術」が8問から6問へ変更となりました。ここは実は得点アップのチャンスになっていて、増えた2問は出題範囲に追加されたチームマネジメント、OJTなど出る範囲が絞りやすくなっています。

    3つ目は出題傾向の変化です。

    1. チームマネジメント能力を養うための教育内容の拡充
    2. 対象者の生活を地域で支えるための実践力の向上
    3. 介護過程の実践力の向上
    4. 認知症ケアの実践力の向上
    5. 介護と医療の連携を踏まえた実践力の向上

    ここでは「実践力」という言葉が並んでいます。ということは短文事例と呼ばれる「認知症のAさんがいて…どう対応しますか?」という出題方法がより増えていきます。短文事例は、問題文や選択肢にヒントがあるので、比較的正解を絞りやすくはなっています。ただ2問くらいには絞れてから迷ってしまうことが多いという難点もあるので、注意が必要です。

    この3つの変更は変更初年度ということで、手探り状態だったことが予想され、合格率の高さにつながったのではないかと考えています。では今後難易度はあがるかというと、しばらくは第35回と同等になると予想しています。根拠としては、しばらくはカリキュラム変更から様子を見ていく必要があるため、第35回を基準としていくと考えるからです。そのため、介護福祉士を目指すなら今がチャンスだと思っています。

    ではそのチャンスをどう活かせばいいか、キーワードは「敵(出題者になる)を知ること」と「タイムパフォーマンス(通称タイパ)」です。

    まずは「出題者になる」ですが、試験は人間が作ります。私も教員経験があり、試験を作る立場にいましたが、「このポイントは覚えてほしい」と思い、試験を作っていました。このポイントを見極めることこそが、試験攻略の鍵になります。参考書、Youtubeでポイントを参考にして頂ければと思います。ただ、範囲が広すぎて苦手な人もいるので、そういった方はあえて問題を解きまくり、そこからよく出てくる単語や出題傾向を掴む方法もありかもしれません。過去問を見ていると範囲が限られているので出題パターンが存在しています。パターンを掴めば爆発的に点数が伸びていきます。そのパターンについては今後どこかでお伝えできればと思います。「嘘のようなホントの話」で結構存在しているので講師をしていて皆さん、納得されます(笑)。例えば、5択から1つ正解を選ぶため4つは間違いになります。正しい選択肢を否定文にしたり、語句の入れ替え、反対語(大きい→小さい)を使う、数字を入れ替えたりして間違った選択肢を作ることになります。その見極めが出来るだけで、1/5=25%の正解率が1/3=33%、1/2=50%までは上ります。実はこの選択肢を削っていく作業も合格の重要ポイントになります。出題範囲も似たようなことも多いです。第35回の問題を見てみると、カリキュラム変更により、選択肢を削り易かったことも合格率の高さにつながったように感じています。自分で、間違いの選択肢を作ってみることも勉強方法の1つかもしれませんね。

    次が「タイパ」です。いわゆるスキマ時間の活用です。今は無料アプリもあり、いつでもどこでも国家試験の勉強ができる時代です。私もそうですが、年齢を重ねると新しいことへのチャレンジや変化を恐れてしまいがちですが、便利な物を勇気を持って活用することが大切です。アプリは解説までしてくれますし、気になるポイントはYoutubeがおすすめです。何より好きなところから倍速で視聴できるため、効率的に勉強できる点も魅力です。

    また効率的な勉強方法としては「紐付け」も欠かせません。名付けて「連想ゲーム勉強法」です。例えば、パーキンソン病→すくみ足→転倒…など紐付けすることで様々な知識の呼び起こしから知識が身に付き、問題が解けることに繋がります。ここで、戻ってパーキンソン病を他に紐付けすると、レビー小体型認知症の症状でも出てきます。これを紙に書いてみると可視化でき、自分の知識が整理できます、このように1つの知識から紐付けすることで、1つの側面だけでなく、2つ3つと連想されて行きます。国家試験はマークシートなのでぼんやりのイメージで解けるため、この連想が有効的に働きます。

    さらには問題1つにつき、5つの選択肢があるので、5つの知識が確認できるので、問題を解く際は正解以外の選択肢は必ず確認して何が違うのか確認しておきましょう。そうすることで、10問解くだけで10問×5つの選択肢=50の知識が身につきます。

    今は情報が手軽に入手できます。そのため、多くの選択肢がある時代です。だからこそ、選択する側が自分にとって何が必要かを効率的に選ぶことが重要になります。合格率の高い今だからこそ、ぜひぜひ介護福祉士にチャレンジしてほしいです。

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    板垣大介

    板垣大介

    介護福祉士国家試験対策講師

    現在MSWと介護支援専門員の2刀流で活躍中。社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員の資格を持ち、介護現場で勤務ののち、介護福祉士養成の専門学校の教員として勤務。そこで介護福祉士を目指す学生に福祉の魅力を伝え、多くの卒業生が介護現場で活躍している。また介護福祉士国家試験対策のスペシャリストとして、学生だけでなく、現場で介護福祉士を目指す方たちの国家試験合格をサポートして結果を残した。介護分野だけでなく、幅広い福祉分野で新潟の医療福祉業界を盛り上げたいと考え、現在は医療福祉の現場で日々医療福祉を必要とする方とその家族のQOL向上を目指して奮闘中。趣味はバスケットボールと広島カープの応援。

    1. 介護福祉士対策講座⑥(障害の理解)

    2. 介護福祉士対策講座⑤(認知症の理解)

    3. 介護福祉士対策講座⑤(発達と老化の理解)

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