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チームを破壊するコミュニティクラッシャー

コミュニティクラッシャーとは?

コミュニティクラッシャーとは、所属しているコミュニティ(職場、クラブ、サークルなど)において、人間関係を悪化させ、そのコミュニティを壊してしまう人のことを言います。コミュニティクラッシャーは、どこのチーム・組織にも存在する可能性があり、人間関係を破壊させ、プロジェクトや日々の業務にも大きな支障をきたしてしまいます。そのため、チームマネジメントや組織運営において、コミュニティクラッシャーへの対策は必須であり、利用者様に対するサービスの質や安全性にも影響を及ぼす可能性があるため、見過ごすことのできない問題と言えるでしょう。

コミュニティクラッシャーの特徴

まずは、どのような人がコミュニティクラッシャーになり得るのか、その特徴について整理していきます。皆さんも、ご自身の職場に①~⑤の特徴に当てはまる人がいないか、振り返りながら読み進めてみてください。


①自分の正しさを強く主張する
 

コミュニティクラッシャーは承認欲求が非常に強いため、自分の正しさを強く主張し、それに反論する人が現れた場合、徹底的に戦う姿勢をとります。ただし、チームのために戦うのではありません。「自分の正しさ」のために戦うため、信頼関係やチームワークが乱れ、チーム全体の雰囲気が悪化していきます。
さらに、コミュニティクラッシャーが自分の正しさを押し付けることで、他のメンバーの意見や考えが尊重されにくくなります。これは、チーム全体のコラボレーションや創造性に悪影響を与える可能性があります。また、他のメンバーの意見や考えを考慮に入れず、自分の意見を押し付ける傾向があるため、重要なことを決める際も、健全な意思決定が阻害されることにつながってしまいます。

②批判的×攻撃的×他責的=強い対立関係

コミュニティクラッシャーは、批判的・攻撃的・他責的である傾向が強く、結果としてチーム内に強い対立関係を生み出してしまいます。他のメンバーやアイデアを批判し、その批判は建設的なものではなく、単に否定的で相手の気持ちや立場を理解しようとすることはありません。また、自分の意見や立場を主張する際に攻撃的で威圧的な態度を取ることがあります。そういった態度は、自分の正しさを強調するためにとるものであり、結果として「対立」を生み、チーム全体の士気を下げてしまいます。
そして、コミュニティクラッシャーは、問題や失敗を他のメンバーや環境のせいにする傾向があります。上手くいかなかったことや、失敗してしまった場合、責任を転嫁し、自分自身を責めることなく他者を強く非難する傾向があります。「〇〇ができなかったのは、Aさんがいたせいだ」「こんなに忙しかったら、〇〇できるわけがない」「こんなことになるのは経営側の〇〇が原因だ」というように他者や環境のせいにするため、自分自身を振り返り、態度や行動を改める姿勢に欠けています。
これらの傾向から、強い対立関係を作ってしまい、その影響はチーム内だけでなく、組織全体へと広がっていく可能性があります。

③感情的に振る舞い、他人をコントロールする

コミュニティクラッシャーは、自分の不満や怒りを感情的に表現する傾向があります。小さなことでも怒りや不機嫌さを表に出し、周囲の雰囲気を悪化させることがあります。周囲はその怒りや不機嫌さに対し、関わりを避けたり、逆に言いなりになったりする傾向がでてくるため、コミュニティクラッシャーの不安定な感情に翻弄されながら業務をすることを余儀なくされます。
また、コミュニティクラッシャーの感情的な振る舞いは、職場全体の緊張感やストレスを増加させ、離職者を増やしてしまいます。その結果、個々のパフォーマンスの低下だけでなく、チームや組織全体の生産性の低下につながる可能性があります。

④悪口・陰口を言う

コミュニティクラッシャーは、悪口・陰口を言う傾向が強いです。そのためメンバー間の信頼関係が損なわれる可能性があります。信頼関係が崩れると、チーム全体の雰囲気が悪化し、連携や協力が困難になります。
また、悪口・陰口の対象は、チーム内のリーダーなど「重要な人物」を対象とすることが多く、周囲は次第にリーダーに対する不信感を抱くようになってしまい、リーダーへの信頼が失われる可能性があります。リーダーが信頼されなくなると、チーム全体の方向性や目標達成に対するモチベーション低下にもつながってしまいます。

⑤嘘をつく

コミュニティクラッシャーは嘘をつく傾向があります。そのため、チーム内の混乱を生み出し、情報共有の信憑性を失い、人間関係の対立や不和にもつながっていきます。
また、わかりやすい明確な嘘というより、事実に対し間違ったニュアンスに変えたり、過大に表現したり逆に過小表現したりするような嘘をつくことがあります。例えば、リーダーが「皆でこれまで以上に良い職場つくりをしていこう」と前向きな言葉を言ったとしても、コミュニティクラッシャーは「この前リーダーが『今までのやり方はだめ。こんな職場は早く変えないといけない』と言っていた。私たちのこと否定するんだよね!」とニュアンスを変えて、他のメンバーに伝えていってしまいます。最初はメンバーも「あのリーダーがそんなことを言うのかな」と疑問を持ちますが、このようなことが繰り返されると、嘘が真実化され、さらなる混乱や信頼関係の崩壊につながっていきます。

もし職場にコミュニティクラッシャーがいたら…

このような傾向がある人がチーム内にいた場合、まずはできるだけ距離をとるようにしましょう。なるべく接する機会を少なくし、仮に接する機会があったとしても、深入りせず話を聞くだけにしたり、相手の自尊心を傷つけるようなことがないよう配慮したりしましょう。
また、コミュニティクラッシャーになってしまう人たちは「認められたい」「評価されたい」といった思いが強い傾向があります。したがって、職場における評価軸を明確にすることも大切です。チーム内でその評価軸をきちんと共有し、コミュニティクラッシャーのような振る舞いが「よくない」「問題だ」と皆が認知できるような文化を作っていくことが重要でしょう。
ただ、これらの対応だけでは、コミュニティクラッシャーの影響を抑えることは難しいケースが多いです。その場合、個人の力では解決することが困難ですので、コミュニティクラッシャーの発言や態度、行動が就業規則やハラスメント規定に違反していないか、客観的な情報をできるだけ集めていき、役職者など上の立場の人が、然るべき対応をとる以外解決の道はありません。
自分を強く主張し、攻撃的、感情で人をコントロールし、悪口や嘘でチームを混乱させる、そのような人を野放しにすることで、チーム・組織の未来は、「クラッシャー」の名の通り、崩壊していくことへとつながってしまうのです。

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小山智彦

小山智彦

認定作業療法士 感謝の伝道師

日本作業療法士協会 認定作業療法士。介護現場の人間関係やチームワークで悩む日々の中、どん底の時に感じた深い感謝の想いと10000回の“ありがとう”に触れ、「人やチームの問題は感謝で解決できる!」と確信。 感謝を伝える「サンクスカード」の普及と独自の理念「サンクス道」を展開する。国際学会での発表、介護情報誌での執筆活動、研修や大学での講義など行い、講義では感動で涙する受講者が続出している。 ★「感謝の文化を作ることで『利用者様への感謝』が増え、ケアする人もされる人も幸せになる『寄り添いのイノベーション』が生まれます。私自身のこれまでの経験と想いを、コラムを通じて多くの方へ伝えていきたいです。

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