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専門家コラム

”今”が大切!「やりたい」を実現するために

皆さんは、食事のときテレビをみながらご飯を食べますか?
私は、子供の頃からテレビがついた環境でご飯を食べるのが日常で、今も食事の時はテレビをつけています。介護職員として勤務しているとき、食事の時間に配膳を終えご利用者が食事を食べ始めると急にある職員がテレビを消しました。
毎回、なぜ食事の時間になるとテレビを消すのか、ご利用者に断りもなく消していることに疑問を感じ、介護主任に確認するとリハビリ職員から「食事以外に気が向くとむせたり、誤嚥したりする可能性があるから消すように」と話があったとのことでした。
今までにそういったご利用者がいたのかとも思いましたが納得できないまま、またある日、心臓の病気を患っているご利用者が「歩きたい」と私に話をしてきました。普段は、車椅子で移動している人でしたが、心臓に負担がかかるといけないからとリハビリ職員が車椅子で移動するようにと介護職員に伝えていました。リハビリ職員に相談してみましたが「心臓の病気があるから歩くのは無理です」と言われました。
上司である介護主任に相談しても何も状況は変わらず、私たちの仕事は、リスク優先に考えることが正しいことなのか、ご利用者の思いを実現することはできないのか、何のために介護の仕事をしているのか悩む時期もありました。

ご利用者も介護職員も1日のスケジュールが決められ、介護職員は決められた業務をこなすことが当たり前、時間通りにできれば一人前だと評価され、決められたことから外れたことをすると「空気の読めない職員」と評価されるような環境で仕事をしている中で、ご利用者の思いを聞くたびにその思いを叶えられないこと、ご利用者の環境を何も変えられない自分にもどかしい気持ちでいっぱいでした。
ある日、おむつ交換が終わり爪を切ってほしいとご利用者に頼まれ、爪切りを行っているといつの間にか行列ができていました。なぜ行列ができていたかというと、他の職員に頼むと「入浴の日に切ります、後で居室へ行きます」等すぐに応じてもらえないこともあって、私が頼まれるとすぐに対応していることを知ったご利用者たちが行列となり順番待ちをしていました。
「今してほしい」ことを「後回しにされた」という思いが蓄積されていくと、ご利用者たちは誰を頼っていいかわからなくなってしまいます。ご利用者一人ひとりの”今”を私は大切にしたいと強く思いました。
利用者さんのやりたいこと、してほしいこと、もっと自由に自分のアイディアを活かして仕事がしたいと思ったとき「このままでは実現できない」と思い、管理者になればご利用者の思いを叶えるためにもっと色んなことに取り組むことができるのではないかと考え転職することにしました。

介護現場の管理者になるには、施設の種類や形態によっても必要な資格や経験が異なり、特定の研修を修了する必要がある場合もあります。主に介護現場での管理職に求められる役割として、①リーダーシップ②コミュニケーションスキル③マネジメントスキルが求められます。
他にも経営の視点を持ち運営や収支管理、行政機関との連携などもあります。私が特に重要だと思うことは、コミュニケーション能力です。利用者さんとのコミュニケーションも大切ですが、職員とのコミュニケーションも重要といえます。
人材育成をしていくことにも力を入れていきたいと考え管理者に就きましたが、職員一人ひとりにも介護観や思いがもちろんあります。
目指す方向性が同じでなければ、施設の発展やご利用者に質の高いケアを提供することはできません。
施設によっては、スキルアップを全面的にサポートしてくれる制度が整っているところやキャリアアップもできる仕組みを設けている施設もあります。私のように転職というかたちでキャリアアップすることもできます。
皆さんが介護をしている中で大切にしたいことは何ですか?自分が目指す介護を実現するために、必要な資格などスキルを身に着けていくのか、キャリアアップしていくのか、誰にでもチャンスはあります。
皆さんのこれからを応援しています!

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本間友美子

本間友美子

社会福祉法人ゆうしん 小規模多機能型居宅介護支援事業所くるま乃 管理者 新潟県認知症介護指導者 「~人が人を想う気持ちを大切に~」

新潟医療福祉大学を卒業後、デイサービス、病院(医療院)、介護老人保健施設、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)と介護現場での経験を積み、グループホームの管理者としても経験を積んできた。 病院に勤務しているとき、目に留まった認知症研修に参加し「ユマニチュード」という知覚・感情・言語による包括的コミュニケーション技法を学び、認知症ケアに強く興味を持ったのと同時に今までの自分のケアがどれほど未熟であったかと落胆し、これではいけないと更に技術を習得していくこととなる。 働いていく中で、医療・介護の現場で認知症ケアに対する理解がまだ不十分だと感じ、認知症ケアの専門職育成に力を入れていきたいと思い、認知症介護指導者となる。 また、地域の人たちにも認知症の正しい知識と理解をしてもらいたいと思い、講演や研修会にて認知症啓発活動をしている。

  1. ”今”が大切!「やりたい」を実現するために

  2. 人が人を想う気持ちを大切に~認知症介護指導者になるまで~

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