逆転の発想
こんにちは!広島カープをこよなく愛している板垣と申します。コラムでは介護福祉士国家試験対策を中心に投稿したいと思います。第36回の試験本番までの4か月をきりました。効率よく学べるように国家試験対策に使える合格へのテクニックを交えながら、科目ごとに過去問題を解説していきます。このコラムが皆さんの合格のお力になれればと思います。今後よろしくお願いします。
この「大逆転の痴呆ケア」という本ですが、私が介護の現場にいた際に大変参考になった本です。介護の視点はいろんな角度から考える大切さを教わり、それが仕事において自分自身の言動やアイディアに今も活かされています。なぜこの本の紹介から入ったかというと、この発想こそが合格へ繋がる第一歩だと考えているからです。
まず勉強を始める前に、私なりの国家試験の捉え方をお話しします。合格点は総得点の60%、つまり125点中75点前後となります。ここでまず考えてほしいのが、「75点取る」ではなく、「50問間違えていい」ことです。受験者に対策講義する際は「逆転の発想」と伝えています。この発想が、先ほどの本の紹介です。当然ですが、国家試験には難しい問題も含まれます。私なりのイメージでは15%程度、18,19問は難しい問題が出題されます。仮にここを全部間違えてもまだ30問も間違えていいわけです。そのため、難しい問題は捨てていい問題となってくるので、それ以外の取りこぼしをいかに防ぐかが合格への近道になっていきます。まずこの「逆転の発想」を持つことが重要です。
2つ目が国家試験が5択のマークシートであるということです。5択のマークシートのメリットは「正確に覚えなくても良い」「イメージで解ける」ことです。穴埋めではないので一語一句正確に覚えていなくても、答えが選択肢にあるわけなので、問題に対する正解がイメージできていればよいのです。デメリットとしては「迷う」ことです。似た選択肢があるので、正解に迷いが生じやすくなるのもマークシートの特徴になります。攻略のために、知識をインプットするだけでなく、アウトプットすることが重要になります。アウトプットの練習にはひたすら問題を解いて、解説と照らし合わせて正しい文章に直すという勉強方法が有効になります。この辺は対策の講義の機会があればお伝えしたいと思います。まずはこの2つの捉え方を意識しながら試験対策していきましょう。
人間の尊厳と自立①
1科目目は「人間の尊厳と自立」です。全部で2問出題されます。例年だと1問目は「人物」が問われていました。聞いたことのない人物がいきなり登場し、受験者が焦るパターンでした。この「人物」問題は捨て問題として捉えることが重要です。ここに勉強の時間を割いても1点です。その時間はぜひ、もっと効率よく点を取れる箇所に使いましょう。では早速、過去問で確認していきましょう。
【第35回 問題1】
利用者の生活の質(QOL)を高めるための介護実践に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 日常生活動作の向上を必須とする。
2 利用者の主観的評価では,介護福祉職の意向を重視する。
3 介護実践は,家族のニーズに応じて行う。
4 福祉用具の活用は,利用者と相談しながら進める。
5 価値の基準は,全ての利用者に同じものを用いる。
介護実践の主体は「利用者本人」です。では解説していきます。
1:×
「必須」は「必ず」も含めて、限定用語です。この限定用語はNGワードで、国家試験では必ず×になります。福祉用具を活用し生活環境を変えることでQOLを高めることもできます。
2:×
「介護福祉職の○○(例えば、判断)」はNGワードです。国家試験では利用者は「神様」として捉えていきましょう。すべては利用者第一です。
3:×
「家族」ではなく「利用者」のニーズに応じて行います。
4:○
自己決定の支援です。
5:×
価値観は1人1人違います。だからこそ「個別ケア」が重要になります。
人間の尊厳と自立②
この問題の形式は「短文事例」と呼ばれています。この科目では2問目はほとんどがこの形式です。第35回からカリキュラム変更もあり、今後も「短文事例」は増えてくると思います。この短文事例は、得点が稼ぎやすく、その理由は事例の中にヒントや正解が含まれているからです。コツをつかみ、それを見つけられれば、正解率が格段にアップします。
【第35回 問題 2】
Aさん(25 歳,男性,障害支援区分 3 )は,網膜色素変性症で,移動と外出先での排泄時に介助が必要である。同行援護を利用しながら,自宅で母親と暮らしている。音楽が好きなAさんは合唱サークルに入会していて,月 1 回の練習に参加している。
合唱コンクールが遠方で行われることになった。同行援護を担当する介護福祉職は,Aさんから,「コンクールに出演したいが,初めての場所に行くことが心配である」と相談を受けた。
介護福祉職のAさんへの対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 合唱コンクールへの参加を諦めるように話す。
2 合唱サークルの仲間に移動の支援を依頼するように伝える。
3 一緒に交通経路や会場内の状況を確認する。
4 合唱コンクールに参加するかどうかは,母親に判断してもらうように促す。
5 日常生活自立支援事業の利用を勧める。
短文事例においては「本人の思い(言葉)」「問われていること」に着目します。この問題では「介護福祉職の対応」です。もう少し詳しく見ていきましょう。Aさんの思いは2つです。①「コンクールに出演したい」、②「初めての場所で行くことへの不安」です。国家試験では利用者の思いは絶対です。「~したい」というニーズは叶えていくように支援していきます。そのためコンクールに出演することは確定です。あとは、問われている介護福祉職の対応ですが、Aさんが安心してコンクールに出演できる方法を選ぶと正解になります。この短文事例のヒントが拾えるかが重要になってきます。そのコツは「」部分に着目してみることです。国語のテストのようになっていますね笑。
ちなみに同行援護とは、簡単に言うと「視覚障害のある方の外出支援(食事、排泄介助など含む)」です。詳しくは「障害の理解」という科目で触れていければと思います。では問題を解説していきましょう。
1:×
「~したい」というニーズは叶えるように支援するので諦めてもらうことは×です。
2:×
Aさんは移動に不安があるし、外出先での排泄介助が必要なので、介護福祉職が行う必要があります。
3:○
「一緒に」というのは○ワードと呼んでいて、この言葉が入る選択肢はほぼ正解になります。内容からも不安を解消してくれる対応になっています。
4:×
自己決定は本人が行います。Aさんは25歳で判断能力はありそうです。
5:×
日常生活自立支援事業は認知症、知的障害、精神障害などで判断能力が不十分な人に支援する制度で、Aさんはそのような障害はないので対象外です。この制度は詳しくは「社会の理解」で触れていきます。
このような形で、解説も交えながら国家試験対策のコラムを掲載していこうと思います。皆さんのスキマ時間に国家試験の対策の参考にしていただければ嬉しいです。ぜひぜひ皆さんのお役に立てればと思っておりますので今後もよろしくお願いいたします。