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仕事が先か、給料が先か

介護現場に多い「勘違い」

ある勉強会で、
①仕事をして給料をもらう
②給料をもらってから仕事をする

どちらが正しいでしょうか? と質問がありました。

私としては、あまりに当たり前すぎる質問で、逆に、実はひっかけ問題?とドキドキしながら、「①仕事をして給料をもらう」と答えました。
すると、やはり、というか、当然ながら、ひっかけ問題でもなんでもなく、普通に、正解でした。

そこで、どうしてこんな当たり前のことを聞くんだろうと、ますます疑問が湧いたわけですが、その講師曰く、一部のサラリーマンは「②給料をもらってから仕事をする」と思い込んでいる、ということでした。
具体的に説明すると、
「こんな仕事(の状況)では給料上げてもらわないとやってらんねーぜー!」とか
「空きベッド埋める前に、まず給料上げてもらわないと困ります!」とか
「新しく利用者を入れるなら、人を増やしてからにしてください!」的な発言。
介護の現場で、よく目にしたり耳にしたりする光景ですが、これが、まさに「②給料をもらってから仕事をする」と「勘違い」している状況で、こうした「勘違い」の多い現場では、まずはその「勘違い」をしている状態を解除しない限り、どのような経営改善の案も現場に伝わらず、自律しない組織になる、ということでした。

あなたの「当たり前」、みんなの「当たり前」

私としては、この話を聴いた時点では、まだ半信半疑で、まさかねー、と思いながら、ちょうどその後に予定されていたいくつかの介護施設の内部研修で、同じクイズをしてみました。
結果は、予想以上でした。
なんと、一部どころか、見事に半分くらいのスタッフが、「②給料をもらってから仕事をする」と答えたのです。

これは、正直、私にとって、かなり衝撃的な出来事でした。
ですが、この一件のおかげで、大きな気づきを得ることができました。
これに限らず、私が「当たり前」と思っていることでも、みんなにとっての「当たり前」ではないこと、そしてまた、周りにとっては「当たり前」のことでも、自分が知らないケースもある、のだと。
そして、残念ながら、社会人としての当たり前が通じない介護業界、と言われる理由の一つが、コレかもしれない、と。

真の「辞められたら困る職員」になる

経営者の苦労を知れ!
そんなことを言うつもりはありません。ただ、いつまでも被害者意識ではいけない、ということです。
生活のためだとしても、お金のためだとしても、目的はなんであれ、組織で働く以上は、組織の方針に従うのがルールです。
自分からその組織に入っておいて、「給料上げてくれなければ働かないぞ」というのは勝手な言い草です。
職場が嫌なら辞めればいい、社長が嫌いなら辞めればいいのです。それがサラリーマンの権利ですから。
不満があってもなくても、やるか、辞めるか、二つにひとつです。
辞めないでやるなら、組織のために働く、それが社会というものです。

では、辞めないで働くとなった以上、まずは何から始めるか、です。
・不満を言わずに、働いてみる
・働く時間はもっと利用者に関わってみる
・もっと上司と業務改善について話し合ってみる
・後輩、新人を育ててみる
・満床や、新規の入居に文句を言わないでみる
・満床にするために取り組んでみる
・加算を取るために条件を学んでみる
・資格取得のために学んでみる

とにかく、自分、利用者、上司、組織に貢献できる何かをやってみることです。
特に、組織にとって貢献できる職員になることは、とても重要です。
もし、あなたが今「辞められたら困る」と言われていたとしても、それが、あなた自身の組織への貢献度ではなく、ただ、資格を持っているあなたがないと困る、とか、人数が減るから困る、などという理由であるうちは、まだあなたの価値は低いままです。
あなたが組織にとって役に立つ職員になれた時、本当の意味での「辞められたら困る職員」になるのです。

リーダーを悩ます「あの人」

一方で、「あの人」のせいでと、悩むリーダーもたくさん見てきました。
「あの人がいるからチームが成長しない」
「だけど、あの人に指摘すると辞められるから困る」
「なぜなら、あの人が持っている資格は必要だから」
たいていの「あの人に辞められたら困る問題」の本質は、「運営基準を満たせなくなる問題」なのです。「あの人」自身ではなく「資格」が必要なのです。
つまり、同じ資格を持っている人がいれば解決するけれど、他に資格を持っている人がいないので、しかたなく、今はお願いします、という状態です。

こんなふうに、組織に貢献していない、むしろチームの成長を妨げている職員であるにもかかわらず、辞められたら困るからと、逆にリーダーの方がビクビクしているようでは、当然ながら現場の仕事の質は下がる一方です。
組織に貢献しないどころかチームワークを乱している「あの人」が大事にされていては、他のスタッフはみんな、自分が努力しても意味がない、となってしまいますからね。
そうなってしまった職場は、きっともう、やり直しも、立て直しも難しいでしょう。
だから、計画的な組織に貢献してくれる人材の育成、組織としての取り組みが重要なのです。

まとめ―現場の願いは満床になってから叶う―

最後にもう一度。仕事が先か、給料が先か。
当然ながら、答えは、仕事が先です。仕事をして、給料をもらうのです。

今、介護の業界において、特に、空きベッド、稼働率の問題は深刻です。
介護施設に限らず、経営において最も大切なのは稼ぐことです。
これを読んでいるあなた!
もしも、介護施設の運営に悩んでいるなら、まずは満床、稼働率100%に近づけることです。
現場は現場で、色々言い分があると思いますが、それはこれまで放置してきた組織のツケです。
もちろん現場の要望も聞くことも大切ですが、まずは、その原資を稼ぐことです。
そこで、おすすめの言葉をご紹介します。
「満床になったら叶えます!」
現場の不平、不満には、こう言い切りましょう。
まずは、給料が先という「勘違い」状態を打破することから始めてみませんか。

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知野吉和

知野吉和

介護人材育成アドバイザー・介護教員

新潟県加茂市出身・福祉系の専門学校卒業後、老人保健施設、特別養護老人ホーム、福祉用具貸与事業所、居宅介護支援事業所を経て、ヘルパー2級講座の講師を27歳から始める。その後現場の介護職員を対象とした研修講師を務め、10年ほど前から業務改善の支援を行う。組織改善において、あらためて思うことは、現場職員のスキルアップよりも、やるべきことは、組織のルールづくりです。管理者、リーダーの役割を明確にすることが内部統制、チームビルディング、生産性の向上につながります。感情労働であるからこそ、現場に振り回されないために、ルール作り、組織づくりの基本に立ち返ることをお勧めいたします。

  1. 仕事が先か、給料が先か

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