ケアカレッジ「介護のココロのケア」担当、グリーフケアアドバイザーのマミコです。
ココロのケアコラムのを担当する中で、毎月何かホッと柔らかい情報をお届けしたい…と思いながら、社内の仕事に追われ、コラムの更新が滞っておりました。
2024年になり、心機一転!
新たに更新頻度を上げてコラムをお届けしたいと思っていましたが、入院・手術のため、2月より長期休養をいただくことになりました。
私の病気は、『境界悪性卵巣腫瘍』というものです。
たまに微熱が出たり腹痛のようなものを感じる程度で、自分の体の内側に「病」があるなんて思えないのですが、私のお腹の中には大きく育った卵巣腫瘍があります。
発見された直後は「11㎝」と言われ、それでも大きい…とのことでしたが、MRI検査の結果『23×15㎝』という巨大卵巣腫瘍だとわかりました。
実際にMRI画像を病院で見せてもらった際に、自分のお腹の中が腫瘍で占領されているのを見てびっくりしました。
病気発覚直後は、予想だにしなかったことでなかなか現実が受け止められず、でもようやく少し向き合えるようになってきました。
境界悪性卵巣腫瘍とは
卵巣はアーモンドのような大きさと言われ、通常2~3㎝くらいの大きさ。
卵巣の中にできた腫瘍のことを「卵巣腫瘍」と呼びますが、卵巣腫瘍の約90%は良性の腫瘍。残りの10%が悪性(または境界悪性)腫瘍。
境界悪性卵巣腫瘍は、『良性と悪性の中間の性質』の腫瘍。
と言われてもなんだかピンとこないのですが、臨床学的には『悪性度の低い癌』に相当するものなのだそうです。
卵巣は骨盤内にある臓器のため、細胞の一部を取り出して検査を行うことができません。
なので、超音波検査・触診で腫れや異常が見つかると、CT検査・MRI検査といった『画像診断』で卵巣や腫瘍の状態を確認してもらいます。
※他には血液検査で腫瘍マーカーの測定も行い、判断材料の一つに使われます。
画像上である程度の診断予測をしてもらいますが、実際には開腹手術を行って目視・術中に迅速病理診断・術後の病理診断を行った後に確定診断が出ると説明を受けました。
私の場合は、画像上では悪性に見える要素は強くはないものの、完全には良性と言い切れない…と、本当に「境界悪性」という感じなんだなぁ~という診断結果でした。
過去の婦人科疾患
私は過去に2度、婦人科疾患で手術をしています。(次で3度目…トホホ)
1度目は7年前。
ずっと婦人科検診を受けていなかったので、軽い気持ちで「念のため」に診察してもらった際に、卵巣が大きく腫れていると指摘され、すぐに紹介状をもらい大きな病院へ。
右卵巣に「皮様のう腫(※1)」という良性の腫瘍がありました。
良性なので経過観察でもいいのですが、7㎝という大きさになっていたため手術をする方がいいとのこと。
腹腔鏡手術で、のう腫のみ摘出する手術を行いました。
※1:皮様のう腫とは:卵巣の中に毛髪や歯、脂肪などを含んだドロドロした塊が溜まって腫瘍になるもの。私は「髪の毛」が溜まっていました。
2度目は2年前。
卵巣のう腫の診断時に『子宮腺筋症』があることを指摘されていましたが、様子見をしていました。
毎月の月経量が尋常ではなく、鎮痛剤を飲んでも痛みが引かないほどの生理痛に悩まされていましたが、経血量・生理痛は人と比較をすることがないので、自分が「異常」な状態だとは思っていませんでした。
先生曰く、通常は「生理痛」というのはないはずのもの。
痛みがある = 子宮にトラブルがあると思って、婦人科受診をして欲しいと言っていました。
不調は生理時だけではなく、重度の貧血で日常生活に支障をきたすようになりました。
※健康診断でヘモグロビン値が「7.2」というひどい状態でした
貧血が引き金となり子宮腺筋症の再検査。
子宮がかなりのサイズに肥大し、お腹もせり出す状態になっていたので、子宮全摘出をするため開腹手術を受けました。
卵巣がんのリスクを軽減させるため、子宮と一緒に「卵管切除」も行いましたが、女性ホルモン分泌のために卵巣は残してありました。
MRIでの画像診断、実際に開腹しての目視、術後の超音波検査等で「卵巣に気になる病変はなく、のう腫の再発もなし」と安心できる結果を聞いていました。
まさか「何もない状態」から、2年も経たずに巨大卵巣腫瘍ができるとは思いもしませんでした。
検診もなく発見が難しいから、小さなサインを見逃さないで!
子宮を全摘をましたが、子宮頚部は残っているため定期的な「子宮がん検診」をするようにと言われていました。
子宮がん検診はあるのですが、婦人科のがん検診として「卵巣がん検診」はないんですよね…。
卵巣は骨盤内にあり、初期の状態での異常があっても、痛みや不正出血などのサインがありません。
自覚できる異変があるときにはすでに進行してしまっていることが多く、すい臓と並んで「病気の発見が遅れてしまう」ことの多い臓器。
過去に良性ののう腫ができたときも、全くの無症状。
強いて言えば少しお腹周りが太ったかな??という程度でした。
当時はまだ子宮を摘出しておらず、生理前にPMSのような症状に「腹部膨満感」がありました。
お腹回りが多少ふくよかになっても、「もしかして卵巣の病気?」などと疑ったことは一度もありませんでした。
今回、私が自分の体の異変に気付いたのも、婦人科の病気が原因だとは思いもしない症状ばかりでした。
・お腹回りが太ったかな??という感じ
・ダイエットしてもお腹は全然痩せない
・年齢的にも代謝は落ちる…
・疲労と代謝低下、もしかして甲状腺疾患?
・食べると苦しい、便秘がひどい
お腹回りが太ったように感じるのは、腫瘍が大きくなっているからなのですが、
お腹回りが少しふくよかに見える = 卵巣の病気を疑って病院へ行く
ってならないですよね??
まずはダイエットやお家での筋トレに励みましたが、何をしてもお腹周りが痩せない。
さらになんだか疲れかたも尋常じゃない…と思ったときに、実家の母が甲状腺の病気を持っていたこともあり、甲状腺の病気を疑って内科を受診しました。
結果、甲状腺の機能は何も問題なし。
検査結果を聞きに行く頃には、食べると苦しくて便秘もひどくなっていました。
開腹手術をしていると、どうしても術後の癒着で腸の動きが悪くなることもあるとのこと。
腸の音を聴いてもらったところ「動いている音がしない」ことから、イレウスを避けるため、漢方で腸の運動を促しつつ食事を調整して様子見をすることになりました。
先生は漢方で4週間様子を見て、それでも不調な場合は婦人科も調べた方がいいかもしれないなぁ、ということをポツッと言われたのですが、その時はたいして気にも留めていませんでした。
腸閉塞になりませんように!!と祈りながら食事を工夫するも、少量でも胃が押されているような感じで食べることが難しくなり、状態は悪化するばかり。
そんな中、病気とは全く別で、個人的にアロママッサージに行きました。
「お腹・お尻周りが冷蔵庫の中にいるみたいに冷えている」と指摘され、お風呂上りにアロマオイルで傷周りからお尻に向かってゆっくりと温めるようにマッサージを行うようにしたのですが、これが病気に気付くきっかけになりました。
これまで傷口周辺はマッサージしていても「柔らか」だったのに、傷の上下に触れると、日に日にお腹が固くなっていく…。
腸が動かないことで便秘がひどくなり、お腹がカチカチなのだろうとは思うものの、固い範囲がどんどん広がりだし、お腹の中にボールのようなものを感じた際に、何か嫌な予感がしました。
これってしこり??
でもしこりって、小さなものだよね??
私が触れている感じのものは、しこりというには大きすぎる…
でもお腹の中に「何か」がある!!
内科の先生がつぶやいた「婦人科」という言葉を思い出し、「何もなかったですよ~」と安心するため、『念のため』に婦人科を受診。
・お腹が太ったような気がすること
・触れると固いボールのようなものがあること
・念のために受診した
ということを伝えると、先生の顔色が変わり、すぐに経腟超音波検査。
何もなければすぐに検査は終わるはずですが、入念な検査を終えたと思ったら、すぐにお腹側からも超音波での診断。
この時点で「あぁ、何かがあったんだ…」と確信しました。
その後すぐに、
・骨盤内腫瘍がある
・10㎝超えで大きいため手術が必要
ということを言われました。
この時、食べると苦しかったので朝食が取れずなのが幸いし、その日のうちに造影MRI検査をすることになりました。
この時点ではまだ、『良性ののう腫』がまたできたんだろうなぁ、手術は嫌だなぁ~くらいにしか思っていませんでした。
この翌日、インターネットで「骨盤内腫瘍」について調べ、あまり明るい情報を見つけられないことで不安でたまらなくなる日々を過ごすことになったのですが、長くなってきたので、この時の気持ちの揺れ動きについては、また別の記事で書きたいと思います。
* * *
お腹の中にボールのような「触れる」状態まで大きくなった腫瘍があっても、痛みや出血といった『病気を思わせる症状』は全くなく、卵巣の病気というのは本当に分からないまま進行してしまうことを実体験しました。
境界悪性卵巣腫瘍を含む「卵巣がん」は、代謝が落ちだした年齢で罹患率が高くなる病気です。
(若年層でも罹患する人もいます)
代謝低下のせいでお腹回りが太った…と見過ごしてしまいがちですが、体全体がそこまで太っていないのに「お腹回り」が気になるという方は、婦人科で卵巣を診てもらってください!!
そこで何もなければ、「やだー、太っちゃったんだわ~。ダイエットしよーーっと。」と笑い話にすることができます。
そこでもし、早く病気に気がつければ、早期発見で予後が違ってきますから。
卵巣腫瘍は、本当に自覚症状がありません。
だからこそ、このような症状がある方は「念のため」「安心するため」に子宮がん検診と合わせて、卵巣も診てもらってください!
・体全体が太った感じはないのに、下腹部の膨らみが目立つ
・下腹部痛や腰痛がある
・下腹部、腹部を触ると、しこりのような膨らみを感じる
・生理痛がひどくなる、または月経量が増える
・便秘や尿意があまり感じられない
・頻尿になったり尿漏れがある
人生には本当に、思いがけない「まさか」がいくつもあります。
ある日突然、落とし穴にスポンと落ちるように、自分が思いもしなかった衝撃を受けたり、愕然とすることがありますが、病気になって改めて「何もない平凡な毎日」がいかに尊く幸せなものなのかを噛みしめて気付くことができました。
体はたった一つの大切なものです。
婦人科はあまり受信したい病院ではありませんが、骨盤内で症状が分かりずらく自覚症状が乏しいことで、気付いた時には病気が進行していることが本当に多いので、定期検診をぜひぜひ受けてみてくださいね!!