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専門家コラム

脳と心にいい習慣『己書』(おのれしょ)体験会 

ストレスとは?

現代社会のあらゆる年齢層について回る「ストレス」。日常的によく耳にしますよね。ひと昔前には、限られた年齢層や環境下の人達の間で使われる言葉と思っていましたが、気ぜわしく目まぐるしい変化を遂げている現代社会では、老人から幼児に至るまでストレスと言う言葉を口にしています。 皆さんはストレスと聞いて”悪いもの”と感じていませんか? 実は、ストレスには良いも悪いもありません。ストレスの要因は人それぞれで感じ方も違い、全ての人が同じ要因でストレスを感じるものではありません。では、そもそもストレスの正体とは何でしょうか? 厚生労働省が考える「ストレス」の定義とは?
1.ストレス要因 2.ストレス耐性 3.ストレス反応 の3つの要因
からなるとされています。
1.ストレス要因とは? ボールを押さえつける力 ストレッサーと仮定し、外部環境からの刺激をその人がストレスに感じる要因のことです。例えば、物理的ストレッサーには(温度、音、光)科学的ストレッサーには(酸素、薬物などの科学物質による刺激)生物的ストレッサーには(細菌、花粉、ホコリ、感染など)心理的社会的ストレッサーには(人間関係の葛藤や社会的行動に伴う責任、将来に対する不安など)に分類されます。
2.ストレス耐性とは? 例えば指でボールを上から押さえつけた時のボールの弾力性のようなもの。ストレスに強い人のことを耐性力があると評価し、企業からの採用の場面では高い評価をするようです。 
3.ストレス反応には①身体的反応②心理的反応③行動的反応があります。カナダの生理学者であるハンス・セリエ博士は、「ストレスは人生のスパイスである」と表現しています。この言葉のとおり、ストレッサーによる刺激を受けても、それをうまくコントロールすることができれば、むしろその人にとってプラスに働く場合もあるのが「ストレス」です。 (引用文献「ストレッサー(ストレス要因)とは?|分類別対処法|ストレスチェック)

ストレスから解放され心の安らぎを得るには? 

メンタルヘルス不調を未然に防止する「一次予防」として、様々なケアがありますが、セルフケア、グループケア両面から可能なケアの提案のひとつに「好きなことをする」があります。こちらは、①一人でできること②2人以上でできること③屋内④野外で可能な4つの分類からアプローチしていきます。私がストレスマネージメントFT講座をおこなう際、このワークが一番盛り上がります。そして、誰もが好きなことがあるはずなのになかなか答えられない人もいて、グループワークで飛び交う誰かが好きなことを発表すると「それ私も好き」と好きなことに気づいていき、次第に瞳がキラキラ輝きだし笑顔になり、口数も多くなって、声も大きく和やかな雰囲気になっていきます。 人は悩みやストレス、不安があるときには脳の特性として、ひとつのことにしか意識が向けられなくなり、楽しいことや目の前の幸せにさえ気づけなくなってしまいます。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、かつての私自身がそうでした。好きなことなんて分らない、あってもそれを口にすることは自分でタブーとしていました。でもそれは、私だけに限らず多くの皆さんが同じように自分の好きなことが分らないほど、周りの人達に気を使い、周りからはみ出さないように、同調して生きることを由としているのではないでしょうか?それが社会人として、大人として良いことと長年の教育によってすり込まされてきたのです。でも最近は、様々なところで、多様性や個性を重んじることが認められる社会の風潮が広がってきているように思います。

脳科学の観点からも右脳優位にすることが不可欠で心が安らぎ脳が喜ぶ己書 

かつての私が、自分の好きなことが分らなかった時代がウソのように、今では好きなことやりたいことが多く、好奇心旺盛なのですが、その中の1つに「自分の心を自分の手描きで表現する」筆ペンを使って描く「己書」があります。初めての方でも、筆を手にした瞬間から楽しんでいただける「己書」は固定概念に囚われない大胆な筆遣いや、逆書きなどを入り口に、あっという間に筆が走るようになっています。気づけば笑顔いっぱいの自分を見つけられることができるでしょう。笑顔が人それぞれであるように、己書も人それぞれ「日本己書道場  杉浦正 総師範は伝えます。 「筆を持つなんて・・・」「絵なんて描けない」「私には才能がない」そんなことを皆さん声を揃えておっしゃいますが、才能なんて関係ありません!絵が上手い下手も関係なく、自分らしさの表現に大きな意味があるのです。 以前、看護師として勤務していた老人ホームのレクリエーションの時間に、好きが高じて「己書」を入居者の皆さんと描いていました。 その時に、先に書いたような同じやりとりが繰り広げられたのですが、それでも「一緒に描いてみましょう」と声を掛け、数名で描き始めると「あら、こんふうになっちゃった」「それ、いいね」等々、その場にいらした皆さんと自分が描いた「己書」を見せ合いながら、和気あいあいと楽しく時間があっという間に過ぎたのでした。わずか1時間の間に完成する作品に、一喜一憂したり、それぞれの作品を「ああだこうだ」と言いながら、嬉しそうにはしゃいでいた姿が今でも眼に浮かびます。 人として信頼できるがんの名医100人(2015年12月12日:週刊現代)に脳領域で唯一選ばれる等、日本を代表する脳外科医師。(篠浦塾理事長) 篠浦伸禎氏が、『日々のストレスや不安から解放され、本当の心の安らぎを得るには右脳優位にすることが不可欠です。左脳的な理屈や言葉に頼らず、心のままに自由に筆を走らせる「己書」は、脳科学の観点からも理にかなった方法です!』と推奨しています。  (引用文献:日々是パラダイス~己書のススメ 総師範 杉浦正)

デイサービス パーソナルリハ道場(鶴寿会)での体験会 

そんなことで私としては、密かに老人ホームやディサービスのレクレーションに是非とも己書を取り入れていただき、認知症予防と右脳活性化し、脳機能低下予防の目的を持って、己書を広めていきたいと考えております!そんなことを思い巡らせていたところ、私が主催する「己書 幸きづき道場」の初の生徒さんから「うちのディサービスで己書体験会をやってほしい」とご依頼をいただきました。打ち合わせすること数回、やっと実現する日がきて内心ドキドキしながら施設に伺いました。 当初は希望者が4名様でしたが、実際に始めてみたら、やってみたいという方が1、2、3人と増えて、10名の方に参加していただきました。普段、一般の幸座では90分ですが、施設の高齢者の皆さんには60分で体験幸座お伝えさせていただきました。準備する物は筆ペンと練習用の紙(コピー用紙やチラシの裏紙など)清書用ハガキの3点のみ!もう一つ追加で下敷きがあればOKです。いきなり書いてくださいといってもそれは無理があるわけで、ちょっとした書き方の意味や順番、コツ、ルールをお伝えしてから練習を繰り返していただきました。最初は「できない!難しい!」等々おっしゃっていた皆さんでしたが、直ぐにエンジンがかかり「これはどうやって書くの?」「もう一度ここを教えて」など活発に質問されて、とても楽しそうに何度も練習されていました。そして「本番いきましょう~!」とハガキに書くことをお伝えしても「まだ、納得いかない」「もう少し練習してから」等々取り組む姿が真剣そのものでした。 それはとても楽しそうに集中されて描いていました。主催してくださった施設相談役でもある、「己書幸せきづき道場」第1号の生徒さんはじめ、管理者、職員の方々も一緒に参加し、話しが弾んでとても賑やかで充実した時間となりました。皆さんの活気ある姿に私も嬉しく驚きの連続でした。

己書の理念と私の願望 

『筆で世の中を笑顔に変え 自信をつけ 楽しく人と人との絆を創る』杉浦正総師範が掲げる己書の理念に沿って、今回のデイサービス パーソナルリハ道場(鶴寿会)での己書体験会は大成功でした。己書ではお手本ではなく、「お題」と言います。それは書道のようにお手本どうりに書く必要がないと言うことでもあり、上手く書く事より楽しく書く。最初は思うように描けなくてもいいのです。どんどん慣れて楽しんで描いていただく自分だけの己の書。はじめから「できない」「無理」と言っていた方々も1時間という短い時間の中で、世界にひとつだけの自分だけの書(己書)が、直ぐに作品として完成すると、皆さんの笑顔がいっぱい広がるのでした。普段は車椅子に乗っていても、杖をつき、歩行器を使っている方だって関係ありません! 今、という時間を大切に楽しく夢中で過ごせる「己書」体験会を、あなたの施設でもぜひ一度試してみられてはいかがでしょうか? 私、個人的には『楽しいから笑うんじゃないよ 笑うから楽しいんだよ』のお題が大好きです。心あたたまる言霊のメッセージとしてお題がたくさんありますので、利用者様と職員の皆様の笑顔が広がり、人と人の絆を創るために、看護師でもある私が、喜んで己書をお伝えさせていただきます。 皆様からのお問い合わせ、ご連絡お待ちしています。

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時田幸子

時田幸子

看護師

会社員、フリーター、主婦を経て看護師国家資格を取得。 病院・(特養・有料)老人ホーム・ディサービス・訪問看護ステーションで20年勤務。 多数の心理学を学びセミナーを主催。ガン患者様・ご家族様へ傾聴ボランティア歴10年 現在は講師業、セミナー主催、個人カウンセリング&LINE相談活動中。 NPO法人日本ゲートキーパー協会認定講師 NPO法人新潟県ゲートキーパー協会理事 一般社団法人日本ストレスチェック協会認定SMFT アンガーマネージメントキッズインストラクター。 再決断療法心理カウンセラー パステル画でイラストや曼荼羅アートを描くことや己書という筆文字を通して、心の癒しと自己表現する場作りのお手伝いも楽しんでいます。

  1. 脳と心にいい習慣『己書』(おのれしょ)体験会 

  2. 安心・安全な居場所『心のバリアフリールーム』を主催する想い。 看護師 時田幸子

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