ケアカレッジ「介護のココロのケア」担当、グリーフケアアドバイザーのマミコです。
2025年7月に、新たにスタートした『Komachi ケアカレッジ 介護職員初任者研修』の「講義・演習」に続き、「実務研修」にも参加した体験談をレポートさせていただきます!
福祉施設での“リアル”な実技研修体験
介護職員初任者研修は、前半に「講義・演習」で基礎知識を学び、後半は「実技研修」で実際に体験する、二段階構成のカリキュラム。
講義を通して「知識として理解していること」だけでも有用なことがいっぱいありますが、実際に自分の体を使って「やってみる」ことの間には、想像以上に大きな差がありました。
講義は新潟駅から徒歩10分ほどの当社会議室で行いますが、実技研修は福祉施設『新潟みずほ園』さまのご協力をいただき、現場の空気を感じながら学ばせていただきました。
▼社会福祉法人 新潟みずほ園さま
https://www.nmf.jp
今回の研修は、年齢・性別・障害の有無に問わず楽しめるスポーツ「ボッチャ」体験から始まりました。

ボッチャというスポーツをご存じでしょうか?
パラリンピックの正式種目でもあるこの競技のことを、私は全く知りませんでした。
ボッチャは、赤と青のボールをそれぞれ6球ずつ使い、目標となる白いボールにどれだけ近づけられるかを競うゲーム。
ボールは投げても蹴ってもOKで、目標となる白いボール(的のようなもの)に当ててゲームの流れを変えたり、相手のボールに当てて状況を変えたりと、戦略性も必要な「ボール型のカーリング』のような面白さがありました。
ただ近くにボールを投げるだけでしょ?と思いきや、やってみると思った場所にボールが飛ばなかったり、目標の白いボールがずらされるとそれまでの状況が一変し、なかなかに興奮(?)しました。
ボールも大き過ぎず程よい重みがあって使いやすく、投げても・蹴ってもいいということや、ゲームのルール自体がシンプルで分かりやすいことから、幅広い年齢層や障害のある方でも一緒に楽しめるのも納得!
誰だって健やかで不自由ない生活を望んでいますが、年を重ねたり、思いがけない事故や病気で「当たり前のように感じていた健常さ」を失うことがあります。
そんな中で、楽しめることや共に喜べることがあるというのは、本当に素敵なこと。
喜びは生きる上で欠かせないことですものね!
年齢や健康状態に関わらず、共に笑い、喜びを分かち合える時間はかけがえのないものです。
実技研修前の短いレクリエーションで、誰もが一緒に参加して楽しめるスポーツ競技があるという「新しい発見」ができたのも嬉しい時間でした。
車椅子の操作と「される側」の気づき
今回の実技研修は、前回学んだ「移動・移乗」と「整容」に関連する内容でした。
日常生活の中で、ベッドから生活スペースへ、トイレへ、買い物や別の部屋へ…と「移動」は欠かせない動作です。
移動をサポートする道具には杖や車椅子がありますが、今回はその両方を実際に体験しました。
杖の介助では、介助する側がどの位置に立ち、どんな順序で支え、どのように声をかけるのかを2人1組で練習。
演習を繰り返し見て確認することで、「あまり介助が必要ないからこそ忘れやすいポイント」をしっかり体に刻むことができました。
続いては、車椅子の取り扱い。
まずは目の前に車椅子を置き、各部位の名称や役割、使う上での注意点を一つひとつ確認しました。車椅子は意外と細かい構造になっており、ただ「押せばいい」ものではないと分かります。
確認を終えたら、いよいよ実際に乗って自分の力で車椅子を動かしてみましたが、これが想像以上に難しい!
まっすぐ進むつもりでも、タイヤの角度がほんの少しずれるだけで横に膨らんでしまい、曲がりたい方向にカーブするにも何度もハンドルについてる操作の輪っか(ハンドリム)を動かさなければなりません。
また、、狭いスペースでは動きづらいことも分かりました。

次は、自分が介助される側として車椅子に乗る体験です。
まず教わったのは、安全のためにフットサポートに両足をしっかり乗せること、手は肘掛けの内側に置くこと。
もし足が地面に触れていたり、手が外側に出ていたら、移動の途中で障害物にぶつかったり、車輪に挟まってケガをする危険があるからなのですが…
実際に乗ってみて分かりましたが、車椅子のタイヤと身体、足と地面までがとっても近い!!
動かす側は、乗る人の手足の位置を必ず確認し、「足や手は大丈夫か?」の声掛けをしてから移動を始めることが必要だと、自分が乗って初めて理解できました。
そして実際に押してもらい、動き出した瞬間
想像以上のスピード感に、思わず体がすくみました。
押す側は歩くより少し遅いくらいの速度なのに、乗っていると風を切るような感覚があり、シートベルトもないため、そのまま前へ投げ出されそうな心もとなさを感じました。もし押す側が急いでスピードを出してしまえば、乗っている人はかなり怖い思いをするはずです。
だからこそ、「少し急ぎますね。怖かったらすぐに教えてください」など、事前に声をかけるだけで安心感は大きく変わるのだとしみじみ実感しました。
今回の体験を通して、
介護や介助は「する側の目線」だけでなく、「される側の目線」を持つことが何より大事
だと改めて感じました。
体験してみないと分からない不安や不自由さ、「こうしてもらうと嬉しい」という感覚は、机上の知識だけでは得られません。

続いて、平坦な道だけでなく段差や坂道での移動も実践しました。
小さな段差も車椅子にとっては大きな障害です。
そこで、車椅子の後ろに重心をかけて前輪を持ち上げ、段差を越える方法や、緩やかな坂を後ろ向きで下る方法を学びました。
これらの操作は、講義で学んだ「体の使い方」が欠かせません。力任せに押すのではなく、てこの原理を利用したり、自分の体を車椅子に近づけて支点として使うことで、無理なく安全に動かせることを身をもって体感しました。
こうして「動かす側」と「動かされる側」の両方を経験したことで、車椅子操作の難しさと奥深さ、安全と安心を両立させるための心配りの大切さを学ぶことができました。
介助する側だけの視点ではなく、介助される側の感覚を知ること。
知識として「技術」「やり方」を知っていることに加えて、自分が介助を体験することで「こうしてもらいたい!」という当事者の目線を持ち、それを実技でしっかり覚えるのは、この先に実践で活用する上で大きな力になるものだと強く感じました。
体を預けてもらうために ― 体位変換と移乗サポート
続いて、「体位変換」と「移乗」の実技に取り組みました。
体位変換とは、寝ている方の体の向きを変える介助のこと。
寝たきりの方であれば、同じ姿勢を続けることで血行が悪くなったり、圧力によって褥瘡(床ずれ)ができるのを防ぐために欠かせません。また、着替えや清拭(体を清潔に保つケア)のためにも必要な動作です。
また、車椅子を使って移動できる方であっても、ベッドから車椅子・車椅子からベッドへと移動する「移乗」の際には、体の向きを変えていただく必要があります。

「体の向きを変える」と一言で言っても、全身が動かせない方、一部だけ動かせない方では介助の方法が異なります。
直接体に触れるからこそ、痛みや不快感を与えないようにすることが大切ですし、何より身体を預けてもらうために介助者自身の重心をしっかり安定させることが重要だと、実技を通して実感しました。
今回は、全介助の場合と一部介助の場合、それぞれの体位変換を繰り返し練習。さらに、ベッドから車椅子へ、車椅子からベッドへと移る移乗サポートも実践しました。

ベッド上で体の向きを変えるのと異なり、別の場所へ「移る」には介助者の体の使い方が鍵になります。
講義で学んだ「足を開いて腰を落とす」「力を入れる・抜くタイミング」といったコツも、実際にやってみると想像以上に難しく、頭で理解することと体で覚えることはまったく違うと痛感しました。
また、介助者がすべての力を担うのではなく、相手に安心して体を預けてもらえるよう密着して支えることで、力のかかり具合が変わることや、どこに手を添えるとスムーズな動きになるのかも体験を通じて学びました。
慌ててしまうと手順を飛ばし、相手に無理を強いたり事故につながる恐れがあるため、事前に体で覚えておくことの重要性を改めて感じました。
実技演習では、移乗技術を学ぶと同時に、移乗介助される側を体験することもできました。
直接触れられることで感じる「不快感」や「痛み」、サポートが不安定なときに体に力が入り、お互いに疲れてしまう感覚――これらは受け手になって初めて分かること。
自分が実技練習でやってみて、どういう力のかけ方をしたらいいのか、重心移動はどうしたらいいのか、すぐにはコツがつかめませんでした。
きっと、上手に体位変換や移乗ができるようになるには時間と経験が必要。
最初から完璧を目指すのではなく、技術面では足りないところがあるならばなおのこと、相手の立場に立って考え、笑顔や優しい声かけなど『技術以外の部分でも安心を届けること』が大切だと感じました。
技術の習得には練習と実践の積み重ねが欠かせませんが、同時に
「相手の思いの側にいること」こそ、介助の土台になる
そんな学びを得た時間でした。
日常生活で必須の「整容」
午後は整容に関する実技練習。
整容とは、体を清潔に保ち、身だしなみを整えることを指し、清拭、洗顔、歯磨き、整髪、爪切り、髭剃り、化粧、着替えなどが含まれます。
清潔さは生活の質を高めるだけでなく、気持ちを前向きにし、外出意欲や社会参加にもつながるポジティブな側面があるもの。
実技では、感染予防を意識した洗面介助の手順を学び、タオルを使った拭き方や爪切りの確認ポイントを習得しました。

爪切りひとつでも、深爪や皮膚を傷つけないよう神経を使いました。
また、整容は衛生保持だけでなく、湿疹や褥瘡の前兆といった身体の異変を発見し、医療と連携する重要な機会にもなります。

着替え介助の実習では、寝たきりの方への全介助、部分的なサポート、衣類の種類(前開き・かぶり、上衣・ズボン)に応じた方法を体験。
着替えは、裸や裸に近い状態を見せることになるので、とってもデリケートなものだから、介助を必要としている人の羞恥心への配慮がとても大切です。
日常生活の中で「できて当然」と思われる動作ほど、他者の手を借りることには勇気や恥ずかしさが伴うため、負担を感じさせない介助が求められます。
さらに、介助される側も体験することで、皺やもたつきの不快さ、衣類の締め付け、肩のズレなど、自分では直せない小さな違和感の大きさを実感しました。
こうした「小さなこだわり」や「快適さ」は、本人から声を上げにくいものです。だからこそ、介助者が積極的に「違和感はありませんか?」「ここは直しますか?」と尋ねる姿勢が本当に大切。
聞いてもらえることで介助を必要としている人は、自分の要望を伝えやすくなりますし、介助の質も向上します。
相手の立場を想像しつつ、分からないからこそ聞く
この二つを意識することで、介助する側もされる側も「良かった」と思える場面が増え、お互いの心地よさや笑顔につながることを改めて学びました。
施設見学で感じた“暮らし”のリアル
実務実習は「新潟みずほ園」さまのご協力で行い、施設見学もさせていただきました。

現場では、ご利用者さんの生活を支える様々な工夫や「楽しみ」を生み出すアイディアに出会ったり、余暇スペースでは、小さな“お助けロボット”がご利用者さんと職員さんの間を行き来し、ふっと笑顔を引き出していました。

実際の施設を見学させていただいたことで、介助用のお風呂や機械、洗濯スペース、食堂など、施設が「暮らしの場」として機能しており、その中で日々の営みが続いていることを実感しました。
居室もご厚意で特別に見せていただきましたが、その空間はまさに「その人らしさ」が詰まっていました。
荷物を最小限にしたシンプルな部屋もあれば、好きな物を並べたカラフルな部屋、ぬいぐるみがいっぱいのほほえましい世界感がある部屋、ベッドや布団の選び方も人それぞれ。
暮らし方の多様さが、その人の人生や価値観を映し出していました。
講義で知識を得ることもとっても大切ですが、実際に「見て・触れて・体験する」ことで、知識はより深く自分の中に刻まれると実感しました。
技術は進化し続ける
実技研修では、体の使い方やサポート方法のコツを学びつつ、教科書で最新の技術を確認する場面が何度もありました。

介護の方法は、介護する側・される側双方の負担を減らす方向へと”常に進化”しています。
介護職員初任者研修は、直接介護に携わる人はもちろん、家族や身近な人を支える立場になったときにも必ず役立つ“生きた力”です。
研修を受けて感じたこと
今回の研修参加は、私にとって“学び”と共に“気づき”の時間でした。
講義で知識を得るだけでなく、実技で体を動かしながら、「こうやって支えるとお互いに楽なんだ」「こうすればもっと安心してもらえるんだ」という発見が何度もありました。
また、施設見学では、ご利用者さんの姿や、生活の中にある様々な工夫、そして職員さんたちの実際の介護や介助の現場に触れることができました。
介護は大きな力だけではなく、小さな心配りの積み重ねで成り立っていることを、目の前で見せてもらった気がします。
私は、今すぐに介護職に就く予定はありませんが、「知っていて良かった」と思えることばかりでした。
もし、将来自分や家族が介助を必要とする日が来たら…その時、きっと今回の学びが心強い支えになると思います。
介護職員初任者研修は、介護の入り口となる資格ですが、それ以上に「人を思いやる力」を具体的に形にできる学びと気づきの時間です。
興味のある方はもちろん、「いつかのために」という気持ちで受講していただいても、必ず意味のある経験になるはずです。
「介護職員初任者研修」は、介護の入り口となる資格。未経験からでも始められ、1.5ヵ月ほどで修了できます。
資格があることで月給は約3万円、年収で36万円アップの可能性も!
条件を満たせば研修費用(39,500円/テキスト代込)も無料です。
次回は11月開講。
Komachiケアカレッジ介護初任者研修の詳細は、公式サイトやお電話でご確認いただけます。
▼お問い合わせ先
電話番号:0120-547-251(平日9:30~18:00)
ホームページ:https://care-college.jp/syoninsya/
次は、あなたが一歩を踏み出す番かもしれません。
新しい景色と、人の温かさに触れる時間が、きっと待っています。