ケアカレッジ「介護のココロのケア」担当、グリーフケアアドバイザーのマミコです。
童謡詩人・金子みすゞさんの『私と小鳥と鈴と』という作品の一説に、こんな言葉があります。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
みんなちがって、みんないい。
この一節をご存じの方もいらっしゃると思います。
今日の時点での世界人口を調べてみたら、なんとその数「80億1,320万人」でした!
世界中にこんなにたくさんの「ホモサピエンス」と呼ばれる人が存在していますが、でも80億1,320万人の誰一人として、この世界に全く同じ人というのは存在していません。
みんな違うんですよね。
言われてみれば「そりゃそうでしょ!」と分かることなのに、私たちはなぜか、自分を責めてしまうときには「人と自分が違うもの」ということをどこかに置き去りにしてしまいがちです。
そもそもそれ、あなたにやれること?
私は自分自身に搭載されている「エネルギー電池」のようなものが小型タイプのようで、日常生活でも予定を詰め込みすぎると疲れ切ってしまい、週末は泥のように寝て体力を回復させないとダメです。
これは、仕事に限ったことではなく、楽しみにしている予定(例えばお友達との連日のディナーの約束とか、旅行にいくなど)であっても同じで、楽しくても体力を使うとどこかでちゃんと充電しない限りヘロヘロでパフォーマンスが上がりません。
以前、女友達同士で1泊2日のキャンプ旅行に行きました。
翌日、温泉に入ってバイバーーイと解散した後、私はやっぱり電池切れを起こして、次の日はひたすら眠って体力を回復させることをして、ようやく通常モードで活動できるようになりました。
が、全く同じ場所で同じ旅をしていた他3人の女子たちは、次の日から元気いっぱいに別の予定をこなしていたというではありませんか!!
ちょっ、どゆこと?!
私は、必ず「翌日の回復日」というのを設けて旅行の予定を組みますが、翌日から普通に動ける人は「回復日」なんていらないんですよね。
メチャクチャ羨ましいのですが、もうほんとうにこればかりは「持って生まれた体質」「自分の体の性能」なのでしょうがないんですよね。
その他にも、人と違う事って私たちには「当たり前」にたくさん存在しています。
カリスマホストのROLANDさんが、著書『君か、君以外か。君へ贈るローランドの言葉』の中で、このような言葉を書かれていました。
メッシに野球をさせない
俺の武器はデスクワークなんかじゃない。俺の強みは、発信力とマネジメント力だ。それを活かさずに、苦手なことばかりやろうとしていた。メッシに野球をさせていたんだ。
(引用:君か、君以外か。君へ贈るローランドの言葉/ROLAND 著)
サッカーの世界で”神の子”と称されていたメッシ選手。
きっと、メッシ選手は「持って生まれた運動能力」があると思うので、野球もできるかもしれません。
でも、野球をやった場合に”神の子”と称されるほどの能力を発揮できるかどうか…と言われたら、定かではないですよね?
サッカーや野球以外にも、ラグビーやバスケットボールなど、色んなスポーツにそれぞれ”スーパースター”がいますが、その世界の中でのスーパースター選手が他の競技で同じようにスーパースター級の活躍ができるかどうかも分からないことです。
ROLANDさんがご自身の仕事の能力について、デスクワークが不得手だと認めた際に、自分にとっての強みが「発信力とマネジメント力」と言っているように、みんなそれぞれ『得手・不得手』があるんです。
またしても私の話になってしまうのですが、私はWEB制作に関する仕事をしていますが、現職に就く前に”派遣社員”として短期間で色んな職場で仕事をさせてもらっていた時期が1~2年程あります。
その中で「伝票整理などの経理事務」の産休代行の仕事をしたことがあるのですが、たった4ヶ月の期間に、私には伝票をチェックして計算するという仕事が全く向いていないことが分かりました。
何度やっても、毎日どれだけ一生懸命に頑張っても、数字が合わないんです。
最初は電卓自体を打つのが遅かったのですが、数字を打ち込む作業自体は2週間もしたらサクサクできるようになりました。
多分、キーボードを打つのと似ていて不得手ではない作業だったんですよね。
ですが、伝票の仕分けをしたり、出力されてきた売上表と照らし合わせをしたり…という作業をすると、必ずといってミスをして、数字が合わないことで悶絶しました。
何十年も経理事務をやっている女性社員さんは、いとも簡単に数字が合うのに、私はお昼休みを削って頑張ってみても、全くダメ。
さっきのROLANDさんの言葉の通り、私の強みが生きる場所は「経理事務」という仕事ではなかったんです。
単純に、私には「それができないこと」だっただけなんです。
それなのに、出来ない自分は「頑張っていない」「努力が足りない」という目で見て、自分のことを心の底から情けないと思っていました。
ある時「いつもキッチリ数字が合う」スゴイ能力を持っている女性社員さんが、パソコンの前で悪戦苦闘していました。
どうやら印刷関係のデジタルデータの修正を頼まれたらしいのですが、グラフィック系の作業は「無理!苦手!!」としんどそうでした。
私は数字を合わせることはできないけれど、グラフィックを調整することはできたので、作業をサポートしたところ、とっても喜んでもらえました。
女性社員さんも「頑張っていなかった」「努力していなかった」訳ではありません。
苦手な作業を前にして、本当に必死に奮闘されていました。
でも、うまくはやれなかった。
それは、彼女がその作業を得意としていなかった、それだけなんです。
その逆もしかり。
私は、数字を追いかけたり伝票を仕分けたりすることが上手くやれなかったけれど、印刷用のデータの調整は苦手ではなかったのでサクッとやれた。
冒頭の金子みすゞさんの詩の言葉の通り、『みんなちがって、みんないい』なんですよね。
上手にできない=努力していないわけではない
派遣社員として4カ月お世話になった経理の部署では、みんなが本当にスゴイ能力の持ち主に見えました。
『みんなが当たり前にできていること』を目の前にすると、自分が出来ないのは「足りていない」「ダメなこと」だと思い、とっても焦りました。
初めは、電卓を打つのが遅かったのですが、女性社員さんから「新聞の株化の数字を上から下までひたすら電卓で”足す練習”をすると早くなるよ!」と教えてもらい、仕事から帰ってきた後や土日を使って練習しました。
そのかいあって、電卓自体は初日に操作した時とは雲泥の差でサクサク打てるようになりました。
が…
伝票を飛ばして打ち込んでしまったり、仕分けのミスだけはどうにも改善できずでした。
情けなくて、申し訳なくて、自分なりに工夫して「商品分類を覚えるコツ」を掴もうとしましたし、社員さんたちにもいろいろと教えてもらいましたが、やはり伝票のめくり間違いなどは完璧には改善できないまま、派遣期間が終了になりました。
この経験を機に、私は「事務作業は不得意だ」ということが身に染みました。
4カ月という期間、出来ない自分が恥ずかしい・悔しくて、一生懸命に努力して、自分なりに頑張りました。
でも、最後までダメなままでした。
上手にできなかったのは、私が頑張らなかったからではないんですよね。
単純に『向いていない』『得意ではない』『その能力を持っていない』というだけのこと。
上手にできない、というのは「頑張っていない」からなんかではありません。
上手にならない、というのは「努力していない」からなんかでもありません。
自分にはそこが「不得手」なだけで、人と違いがある、それだけなんです。
あなたが不得手なことを得意な人がいるように、あなたが得意なことが苦手な人もいます。
みんなが違う能力・特性を持っているから、いろんな仕事があって、色んな人が力をそれぞれ発揮して世界が動いているんですもんね。
どうか、一生懸命にがんばっている自分に暖かい目をむけてあげてください。
「上手にはできなかった」としても、頑張っていることやひたむきに努力していることを、誰よりもよく分かっているのはあなたですから。
* * *
組織の中で仕事をしていると、自分の得意な作業もあれば、あまりうまくやれないこともこなさなければいけないシーンもありますよね。
できないことを「できるようになりたい!」と努力することは、とっても素敵なことですが、でももし、思ったほどの成長を見せられない自分がいても、そこは責めすぎないであげて欲しいなぁ~と思っています。
一生懸命努力して、頑張っているのになぁ。
しょうがないよね。ドンマイ!
周囲の人からは評価してもらえなかったとしても、あなたがあなたの頑張っていることを、どうか認めてあげて「ヨシヨシ」って言ってあげてください。
むしろ、得意ではないことなのに頑張ったんですよ!!
エライって褒めてもらいたいくらいですよね~~。
そして、頑張り過ぎてしんどくなってしまうようであれば、職場の上司や話ができる人に、不得手であることを相談できたらいいですね。
そうすることで、不得手な部分を他の人にサポートしてもらいながら、自分が得意とすることでお返しできた方が、会社や組織に貢献できてWin-Winですものね!
みんなちがって、みんないいんです。
みんながちがうからこそ、世界は楽しいんです。
それにね、私は「経理事務」を体験してみたからこそ『合わない』『苦手だ』と分かったように、挑戦してみないと分からないことなんていっぱいありますものね。
あなたが一生懸命にがんばって、努力して、必死になって挑戦したのに、上手にできないことがあったとしたら…
不得手な分野・不得手な事柄を発見した!
という見方に変えちゃうことだってできるのだから、頑張っている自分をどうぞ嫌いにならないであげてくださいね。
うまくやれないことがあったら、自分をギュッと抱きしめながら呟いてみてください。
みんなちがって、みんないい。って。