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介護福祉士対策講座【生活支援技術】①

生活支援技術のポイントは「現場のYESは国試ではNO」

こんにちは!
今回は「生活支援技術」について学んでいきたいと思います!この科目は全体の1/5を占める125問中26問出題されるため、「生活支援技術で得点をいかに稼げるか」が合格の大きなポイントになってきます!難易度としてもそこまで高くないため、目安としては「19点/26問」の取得を目指しましょう!出題数が多く、範囲も広いため、次回と合わせて2回に分けてコラムを書いていきたいと思います!

まず、この科目の考え方は「現場のYESは国試ではNO!!」ということです!介護の現場経験を得て受験される方が多いかと思いますが、現場で行っている介助を選ぶと不正解の場合もあるので、あくまでも国家試験用の正解を選ぶ考え方に切り替えておく必要があります!現場経験から受験した人からは「こんなことしてたら時間もないし、利用者さんも嫌がるよ。」というような声が多く聞かれています!国家試験の正解は「利用者中心」です!選択肢の内容が「利用者のペースで、利用者のことを考えて」介助しているかを考えます!ここをきちんと理解しておきましょう!ここについては、あとで過去問から触れていきます!
この科目の項目ごとの大まかなポイントは以下の内容になります!

自立支援は絶対(~出来る能力があると考えます):ADLを落とさない対応を選ぶ、全介助は×です! 
 例、歩行時ふらつきがある→危ないから車いすの考え方は× 
 ※「安全に歩けるようにするためには…」や「歩行できる能力はある」と考えていくことが重要です!
☆利用者中心:利用者の思いを尊重、介助前に説明と同意を得ます!
☆居住環境の整備:
 L字手すりを使用・引き戸>外開き>内開き(倒れたとき開けることができない)・ヒートショック予防
 階段の手すりは降りる時に利き手・小さい段差の方が転倒する・廊下は80センチ(車いすが通過できる幅)

☆身じたく、着脱の介護:
 洋服は利用者が選ぶ(自己決定)・脱健着患が基本・臥床は前開き・片麻痺はかぶりの洋服がよい
 電気カミソリは直角に当て逆方向に剃る・爪切りは爪や皮膚の異常や糖尿病などの疾患あれば看護師が行う(医療行為になる)

☆移動の介護:
 介助者は患側側に位置して介助・車いすは健側に置く・浅く座る(立位しやすい) ※実際の手順をイメージ

☆3動作歩行:杖→患側→健側の順番で歩行する 
 ※階段上りのみ逆(杖→健側→患側)、介助者は患側(上りも降りる時も介助者は階段は下にいる)

☆車いすの操作:砂利道はキャスタを上げる、坂道や段差を降りる時は後ろ向き

☆食事の介護:
 健側から介護(患側に残渣物があるので確認しやすい)・座位の確認(足底がつく)・本人のペースで介助・自助具使用

☆口腔ケア:
 経管栄養の方は口腔ケアが大切(唾液には自浄作用がある)・ベッド上では側臥位で口腔ケアを行う
 入れ歯は上から外し、下から入れる(上が大きい)・入れ歯は歯磨き粉や熱湯の使用は×(乾燥はNG)

☆入浴・清潔保持の介護:
 湯温は40℃未満、時間は10分未満・空腹や食後は避ける・プライバシー保護を意識
 シャワーの湯温は介護職→利用者の健側の手足の順で確認(心臓から遠く場所からあてる)
 健側から浴槽に入り、患側から出る(バスボードも使用)・皮膚の弱い人は弱酸性(ビオレUのCMを思い出す)
 温熱効果、浮力効果(関節が動く)、静水圧効果(むくみ軽減)がある・顔は目頭から目尻に向けて拭く
 清拭は末梢から中枢に向かって拭く

☆排泄の介護:
 陰部から臀部に向けて拭く(前から後ろ)・ポータブルは健側足元に置く・尿瓶は側臥位、差し込み便器は仰臥位で使用
 紙おむつは腹部に指2本入るくらい余裕を持つ・プライバシーに配慮

☆家事:※2問程度出題予想(覚えやすいものだけで他は捨てていきます→過去問から出題傾向をつかみましょう)
 洗濯(表示、漂白剤、ベンジンはチョコ)・栄養(ビタミンAは視覚、Dは骨)・食中毒(ノロ、大腸菌)
 被服、家計(可処分所得は手取り

☆睡眠の介護:
 脳の松果体からメラトニン(睡眠を促進)分泌・視床下部で自律機能の調節・レム睡眠は浅く夢を見る、ノンレム睡眠は深い   

高齢者は睡眠時間が短く、中途覚醒や早朝覚醒が特徴、安眠のため日光を浴びる
 乾燥した寝具を使用・カフェインや寝る前の食事、熱めの風呂は×
 レストレスレッグス症候群がみられることもある(下肢がむずむずして動かすと改善)

☆終末期の介護:
 心停止・呼吸停止・瞳孔散大が死の3徴候
 死の間際はチェーンストークス呼吸(浅い呼吸から深い呼吸になる)や下顎呼吸、体温や血圧の低下、チアノーゼ、尿量減少が
 みられる
 聴覚は残っているため声掛けや手を握る・死後2~4時間で死後硬直が始まる
 グリーフケアも大切(遺族が十分悲嘆し乗り越える)、エンゼルケアは化粧や着物は左前で帯を縦結びする

☆その他
 視覚障害の方の介護(クロックポジション、歩行時半歩前に介助者・肘の上を持ってもらう)
 バスや電車は介助者が先、タクシーは利用者が先に乗車する
 福祉用具は使用目的と対象を抑える(風呂トイレの福祉用具は購入、ロフストランドクラッチは握力が弱い人)

このようなポイントを理解したうえで過去問を解いてみると驚くほどスムーズに知識がインプットでき、正解が見つけやすくなります!

生活支援技術を分析


今回の第36回介護福祉士国家試験の「生活支援技術」の出題内容を分析してみると…
・食事について(嚥下・栄養士との連携・疾病のある方の食事 ※介助方法は出題なし):3問
・入浴について(足浴含む):3問
・排泄について(ストーマ含む):3問
・着脱について(靴・靴下を選ぶ問題含む):2問
・疾病についての介助(関節リウマチ、尿路感染症):2問
・訪問介護の支援(家事援助含む):2問
・終末期の介護:2問
・福祉用具について(ロフストランドクラッチを選ぶ図の問題が出題):2問
・レクリエーション
・住環境
・体位の変換介助
・起き上がりの介助
・移動の支援(車いすの操作)
・爪切りの介助
・睡眠の介護

上記の内容となっています!このことから「食事・入浴・排泄」の3大介護に関する問題は全体の1/3以上の9問出題されています!ここを中心に勉強していくことがまずは重要になってきます!おそらく例年ですと、ここに移動・移乗の介護や終末期の介護、睡眠の介護など身体介護だけで17~18問出題されています!今回の第36回で注目してほしいのは、訪問介護の支援です!おそらく、介護福祉士に「在宅介護」の視点が求められており、この知識が重要だと考えられているからだと思われます!ただ、例年出題されてきた被服や洗濯表示などの問題は第36回では出題されていないことを考えると、生活支援技術は実際に介助する方法、いわゆる実践的な知識が求めらているのではないかと考えています!この生活支援技術においては、より実践的な問題が今後も増えてくることが予想されます!このように、過去問の出題傾向を分析するだけでも、傾向と対策が立てやすく、合格への戦略が見つけやすくなっていきます!今後も私自身も分析から傾向と対策を立てて、皆さんが合格できるようにお役に立てる情報提供をしていきたいと思います!
次回は過去問を解説しながら「生活支援技術」について学んでいきたいと思います!

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板垣大介

板垣大介

介護福祉士国家試験対策講師

現在MSWと介護支援専門員の2刀流で活躍中。社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員の資格を持ち、介護現場で勤務ののち、介護福祉士養成の専門学校の教員として勤務。そこで介護福祉士を目指す学生に福祉の魅力を伝え、多くの卒業生が介護現場で活躍している。また介護福祉士国家試験対策のスペシャリストとして、学生だけでなく、現場で介護福祉士を目指す方たちの国家試験合格をサポートして結果を残した。介護分野だけでなく、幅広い福祉分野で新潟の医療福祉業界を盛り上げたいと考え、現在は医療福祉の現場で日々医療福祉を必要とする方とその家族のQOL向上を目指して奮闘中。趣味はバスケットボールと広島カープの応援。

  1. 介護福祉士対策講座【生活支援技術】①

  2. 介護福祉士対策講座【生活支援技術】②

  3. 介護福祉士対策講座【介護の基本】

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