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専門家コラム

「会議」をマネジメントする

1.効率化が問われているけれど

最近は業務効率化が大事!とよく言われますが、具体的にはDXを進める中で削減の対象となるのが「会議」です。確かに何人もの職員さんの時間を拘束しているわけですから内容によっては「無駄」と判断されるのも分かります。しかし削減する前にそもそも「会議」自体について振り返ることも大事では??今一度、皆さんの会社や事業所で行われている「会議」について目的・形式などで分類して整理・見直ししてみるとあくまで一例ですが図のようになります。
目的の1として「報告・連絡・情報共有」の為の申し送りや事業所会議、職員会議。2番目に利用者に関わること、サービス内容について。制度上やらねばならない会議。担当者会議ですよね。そして目的の3つ目、問題解決のための会議。4つ目、運営面(営業成績等)についての会議、この2つは法人によるでしょうが、種類としてはリーダー会議、管理者会議、幹部会議となりますでしょうか。そして5つ目としてアイデア出しの会議。これは選抜メンバーで行われますかね。最後にプロジェクト推進だったり部署横断的に必要とされるもの。具体的にはプロジェクトミーティングや〇〇委員会といった類です。

目的形式・種類等
1.報告・連絡・情報共有申し送り・事業所会議・職員会議
2.利用者に関わること・サービス内容について担当者会議・カンファレンス
3.問題解決・合意形成リーダー会議・管理者会議
幹部会議・職員会議
4.運営面(営業面)について
5.アイデア出しメンバーを選抜した会議
6.プロジェクト推進・部署横断課題解決プロジェクト会議・〇〇委員会

2.情報共有を目的とした会議の在り方を見直す

さて「効率化」が問われてくるのは目的の1番ではないでしょうか。皆さんの事業所ではどのような取組みがなされてますか?法人や事業所をしっかり運営していく為には必要不可欠だけれども、申し送りに朝20分、夕20分かけているというケースは多いようです。特に多部門が存在している施設系事業所にとって「申し送り」は生命線だったりします。だからこそ効率化は「無理」と諦めてはいないでしょうか。
手前味噌にはなりますが弊社の取組を1つご紹介します。コロナ禍でクラスター発生を機に老人ホームでの申し送り(6,7人が集まります)を廃止。代用としてGoogleスプレッドシートで独自の入力シートを作成し全部門でクラウド上で共有し決められた時間までに報告事項を入力します。それを見れば申し送り事項を確認でき、あらゆる施設内情報が共有出来ています。メンバーの既読確認もそこで自分の名前のセルを✕から〇にそれぞれが変えることだけで済みます。非常に単純な解決策ですがこの数年でやってきたDXの一環で最も効率が上がったケースです。朝夕の最も忙しい時間帯に時間拘束がなされず他の仕事が出来、「申し送り」廃止のメリットをメンバーが実感してます。コロナ禍の中でのプラスの副産物でした。ご参考まで。

3.会議録・メモ等の紙使用を辞める

次に、各会議に共通していることですけれども極力「紙」を使用しないことですね。タブレット端末、ノートPCを用意することが前提ですが、カンファレンスやリーダー会議、管理者会議等、多くの職員対象ではない数名で行われる会議は拠点によっては一切紙使用を辞めました。これも会議録はGoogleスプレッドシートを使用、会議中も端末を通して共有します。その場で書記が決定した事項を赤字で打ち込んで会議録は会議終了と同時に完成。見たいときは保存してあるフォルダのその会議録のURLをクリックするだけです。時間、費用、手間全ての面でプラスの効果があります。シンプルですが即実行をおススメします。

4.会議主催者のスキルアップ

最後に、最も大事なことは会議の種類によって目的が異なることを主催者がよく理解していることです。目的の4の「問題解決」や「合意形成」の為の会議の話をしましょう。ここが問題です。例えば決定権者が不在のところで解決できない問題について「どうする~どうする~?」と皆で悩んでいても意味がありません。(実際はそんな会議も少なくないのでは?)重要なのは会議主催者(ファシリテータ―)のスキルがすべてなんですよね。会議やミーティングは「仕込み」と「さばき」で決まります。「仕込み」とはあるべき結論を決めておく意味ではなく、あるべき議論の姿を設計することです。まず議論の出発点と到達点を決めること、参加者の状況を把握し、論点を洗い出し、絞り、深めること。この仕込みができているかが会議が有効なものになるかどうかのカギです。次に「さばき」ですが発言を引き出すこと、その発言を理解しその場で意味を共有すること、議論を方向づけること、結論付けること、この4つです。一見当たり前のようなプロセスですけれども、この「さばき」がないと結論が出ない議論を延々と続けて時間を無駄にしストレスだけが溜まるといったことが起きてしまいます。意味のある会議にできるかどうかは主催者のスキル次第と言えるでしょう。

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皆川敬

皆川敬

~対話によって個人と組織の可能性をひらく~ サニーウインググループ代表 新潟県介護事業者連盟副会長

サニーウインググループ代表として新潟県内で介護事業(株式会社・社会福祉法人等)を展開。現在は400名以上の職員を統括。その傍ら、プロコーチ・キャリアコンサルタントとして個人・組織の支援を行う。YouTubeliveチャンネル「かろやかキャリアLive!」を毎週配信中。組織や個人に「伴走」しながら「対話」によってその可能性を最大化することをライフワークとしている。 MBA(経営学修士)/国際コーチング連盟アソシエイト認定コーチ/国家資格キャリアコンサルタント。 新潟県プロティアン・キャリア普及協会代表理事。

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