ケアカレッジ「介護のココロのケア」担当、グリーフケアアドバイザーのマミコです。
突然ですが、あなたに質問です。
あなたに「点数」をつけるとしたら、自己採点で何点でしょうか?
多くの人がこの質問を前にすると、自分にはいい面もあるけれど「短所や欠点」があるしなぁ、と思い巡らせ
・ちゃんと仕事で結果を出せるところはいいんだけど、朝が弱くて寝坊癖があるんだよなぁ。
・仕事はバリバリできるんだけれど、片付けが苦手なんだよなぁ。
・誘惑に弱くてすぐに無駄使いしちゃって貯金が苦手なんだよな。
といった感じで「ダメな部分」に焦点を当てます。
私も過去にこの質問にうーんと考えて「64点かな?」と答えを出しました。
いい面もあるけれど足りていないと思う部分もたくさんあるし、「あと46点」はこれからの伸びしろというか目標というか…というような事を自己採点結果として周りの人に発表しました。
採点方法は100点満点のテスト基準??
過去の私を含め「自己採点であなたは何点ですか?」と問いかけられると、小さなころから学校や社会で当たり前のように評価の基準として使われている
100点満点からの減点法
で自己採点してしまいます。
質問は「自己採点で何点ですか?」というもので「100点満点の自己採点をしてください」と条件付けはされてはいません。
ですが多くの人は100点という『基準点』があって、そこからこれが足りていない、あれは苦手だからダメだな…と、自分の中の不足や残念な部分にフォーカスし、その分だけと引き算して自己採点します。
ごくごく自然に、100点が完璧で、その基準を満たせていない部分を自己否定的にマイナス点と評価して計算してしまうんです。
そしてこの「自分へのマイナス」は完璧主義の傾向が強い人ほど大きく、自己採点するととんでもなく低い得点になってしまいます。
努力家で勉強熱心、まじめで誠実で頑張り屋さんに多く見られる「完璧主義」の傾向ですが、心の中では『ちゃんとする』という呪いに罹ってしまっているかのようにダメな自分を叱責し続けます。
私たちはよりよく成長したいという意欲がありますが、完璧主義になってしまうと「よりよく」という見方ではなく「足りていない」という見方で自分を監視します。
冒頭の自己採点で自分の点数を低く見積もってしまった人も含め、あなたは完璧主義かどうかを次のチェック項目を使って見てみましょう。
あなたはいくつ当てはまる?完璧主義チェック
□何事も1番ではないと駄目な気がする
□人生も仕事も「頑張らないといけない」と思っている
□基本的に物事に対しては「~すべきだ」と考えている
□「ちゃんとしなきゃ」が口癖である
□妥協が出来ず残業したりオーバーワークになりがちである
□目標を達成できなかったら苦労が水の泡だと思う
□怠け癖のある人を見るとイライラする
□心配性である
□自分に対する自信はあまり持てない
□ミスをするとかなり落ち込む
□部屋がきちんと掃除・片付いていないと怒りが湧く
□「0か100」「白か黒」をはっきりさせないと気がすまない
□人から何か指摘されるのは嫌い
あなたはいくつ当てはまりましたか?
完璧主義の人はこのチェックリストの多くにチェックが付きます。
2~3個のチェックが付く程度ではまだ自分責めはひどくないかもしれませんが、4~6個当てはまる人は日常的に自分にダメ出しをしていませんか?
8個以上チェックが付くと、自分の事だけではなく周りに対してもイライラすることが多くなり、自分自身がうーんと疲弊しているのではないでしょうか?
完璧主義の人は、自分自身に対する強い劣等感を持っていたり、自己肯定感が低い状態になっていることが多く見られます。
周りの人から見たら「いろんなことが出来ている」にもかかわらず、自分では「できていない部分」ばかりにフォーカスしてしまい、常に足りていないと苦しんでいます。
他人から見たら十分すぎる合格点を貰える仕事をしても、自分は断じてそう思えずにもっと頑張らないといけない!と自分を責めます。
完璧主義の人は減点法で見ている
完璧主義の人は、ダメな私・足りていない私という点を見つけては、基準点から引き算して自分を評価しています。
スタート時の持ち点が「100点」での減点方式を採用している限り、私たちは何かひとつミスするたびに基準点から持ち点がマイナスされていきます。
減点された後はできるだけその得点を「維持」しようと気を抜くことはできなくなりますし、失敗すると減点ですから常に気を張っていなくてはいけません。
自分を監視しなくてはならないため、嬉しい気持ちやワクワクした喜びも持てません。
今の得点だってすでに足りていないというのに、そこから減点されないようにと慎重になりますし、必死になっていないと現在の得点を「維持し続ける」ことが出来ませんから、常に力を入れている状態。
常にディフェンスだけを強いられるサッカーをしている時のように、楽しいどころか疲れてしんどいばかりです。
けれど、そんな緊張状態はずっとは続けられませんよね。
だから、小さな失敗をしてしまいますが、そのたびに挫折の連続で自分に対する自信をどんどん失っていきます。
こんな自分はダメなんだ!頑張らないと!!ちゃんとしないと!!と自分を叱咤して奮い立たせようとして疲弊していきます。
何かに挑戦する際には「完璧にやること」が目的になるため、ちっとも楽しめません。
やったことのない新しい挑戦であっても、失敗することは自分にとっての挫折ですから、心が痛いと感じているところに対し追い打ちをかけるように「なんでできないんだ」とダメ出しをして自己価値をより一層低くし、自己否定感をドンドン強くしていきます。
完璧主義の傾向が強いと、ちゃんとできなくてはいけない・足りない私は価値がない…と自己攻撃を強めてしまいます。
常に「できない自分」がそこにあり、焦りや不安が付きまといますし、常に頑張らないといけないため疲れても休むことが出来ずにボロボロになります。
旅に出よう!RPGゲームの主人公になりきる
完璧主義を手放す方法については、また別の機会にご紹介させていただこうと思いますが、今日はちょっとした「考え方」をご紹介したいと思います。
それは「減点方式」をやめて「加点方式」で考える癖をつけるということ。
学校や社会で広く使われている「100点満点からの減点法」を、自分の価値を評価する際に採用する必要はないんです。
周りの誰かと比較して「あの人みたいにやれない私は劣っている」と自分に対するマイナスのレッテルを貼り、ダメなところ探しをして苦しめるのは『自分虐め』以外の何物でもないですものね。
では「減点」ではなく「加点するやり方」を採用してみるといったところで、一体どうやったらいいのか?と思う方は
私がRPGゲームの主人公だったらどうだろう??
と考えてみてください。
…といいつつ、実は私はまりゲームに詳しくないので、過去にRPGゲームをやった時のおぼろげな記憶をたどっての話になるのですが、ゲームをスタートした時の「勇者」は、まだとびきりに弱くてすぐに死んでしまいます。
けれど、敵を倒して「経験値」を増やしていくことでどんどんと成長していきます。
ゲームの中で成長するために敵と戦いう際に、もともと持っている「ライフポイント」は戦いの傷で減っていきますが、それは自分を評価する「経験値」には一切影響されませんし、お金を払ってライフポイントを回復させるサプリのようなものを飲んだり、宿に泊まって休憩すれば「ライフポイント」は回復します。
また、挑むのにはまだ少し早すぎる強大な敵に戦いを挑んでしまい、ライフポイントがゼロになってゲームオーバーしても、過去に積んできた「経験値」は消えることはなく、そこからまたゲームをリスタートできます。
毒に侵されても、呪文を封じ込めらたりハンデが与えられても、たとえライフポイントがゼロになり強制終了になっても
経験値はマイナスにはならずに、続ける限り増え続けるだけ。
私たちの人生もRPGゲームと同じように「経験値」を積み重ねています。
大人になってしまうと忘れてしまいがちですが、私たちはこの世に生を受けて生まれ落ちてしばらくの間、自分一人では何もできない無力な存在でした。
お腹が空いたと泣くことでお母さんを呼び、ミルクをもらうことで「飢えない」という経験値を積みました。
おむつの中が不快であれば、これもなくという手段で訴え、取り換えてもらえることを理解して経験値をまた増やしました。
寝返りを覚え、ハイハイを覚え、つかまり立ちをし、ミルク以外のものもおいしい事を知り、よちよちと自分の足で立って歩けるようになり、パパ・ママと言葉を発することを覚え、一人で遊ぶ時間が楽しい事も知り、文字を覚え、歌や踊りを楽しみ、友達を作り…
今ここで大人になって仕事をして生きているあなたは、ずっとずっと「経験値」を増やしてここに立っています。
赤ちゃんの時から日々経験値を増やし続け、それはもううーんとすごい得点まで積みあがっていておかしくないんです。
…って言われても、赤ちゃんからの成長とか子供から大人になるまでの成長は素直にすごいことだと言えるけど、今の自分が成長しているなんて言えない…と思ったあなた!!
あなたがどんな形であれ仕事をしているのであれば「また1日仕事に行く・継続させることができた」という経験値が増えています。
専業主婦の方であれば「また家事をした継続日数が増えた」と実績がプラスされています。
ここでは「何かを続けた」事を実績のように書いてしまいましたが、もしも1日生きているという事が「加点1」という仕組みなのであれば、何もしていなくたって生きているだけで確実に1点増えます。
1年あれば「365点も加点」されちゃいます!
生きているそれだけで「経験値」という得点は増えると仮定したら、私たちは毎日『自分史上最高得点』を更新し続けています。
100点という基準点からの減点法では「どんなに頑張っても100点という上限」がありますが、私たちの人生はテストではありません。
だから上限など決めてしまわずに、どんどんと加点して増やしていっていいと思いませんか??
私たちは何億点にもなっていい!
それだけ価値のある大事な存在なんです!!
組織の中にいて評価されることが多いと、どうしても「減点方式」で自分を責めてしまったり、自分に自信がなくなると特に「できないことを理由にして自分を責める」事をしてしまいます。
でも、常にダメだしされて失敗を指摘されていたら、委縮しちゃって成長どころがオドオドしてしまいますよね。
だからこそ「あれも出来ていない」「これは欠点」「こっちはダメ」というように自分を否定してマイナス評価をつけるのではなく
できないこともあるけれど、私は毎日成長している!
と、自分に微笑みかけて「よくやっているよね」と花丸シールを貼ってあげるように、加点方式で自分に優しくしてあげてください。
そして、自分に対して完璧主義を緩めることは、「他の人」に対しても優しくなれるという『おまけ』がついてきます。
私たちは自分に課している厳しいルールを自分が達成するために頑張って努力する分だけ、周りの人にも「同じようにやってよ!」と勝手に思い込み、相手に対して厳しい眼鏡をかけて見てしまいます。(※心理学では「投影」といいます)
こんなに苦い思いをして頑張っているんだから、周りも頑張らないなんてありえない!!と感じちゃうんです。
誰かを批判的な目で見るというのはイライラしますし楽しい事ではありません。
自分を苦しめるだけではなく、周りを見て自分をさらに怒りで生きづらくさせるなんてもったいないですものね。
あなたが自分に対して「ちょっと厳しい目で見ているな」と完璧主義の傾向があると思うならば、その完璧主義という鎖を少しずつ緩めて自分を楽に生きさせてあげることが出来ますように。