ここ数年の介護業界は人材不足もさることながら、顧客を獲得できない、自施設の特色すら言えない、ケアの質が担保出来ないといったように悪循環が継続している施設が多いように感じます。そんな法人様からコンサルティングの依頼を頂くという事がその事を証明しているのでしょう。
では単刀直入に立て直しは難しいか?というと出来ない事はないと思います。
それは、悪循環の現状=問題を解決する思考がない状況であるからです。
よって私のコンサルティングでは、問題の原因を見つけるための考える職員の育成のためのオンジョブトレーニングからの体感型教育を行います。
同時に経営の部分でのフォローとして広報活動、人材獲得についてのチーム構成を行い、3年から5年先を見据えたチームつくりを行っています。
介護現場を変えていく(職員意識の改革)には実践とフォロー+必要な研修となります。「失敗は成功のもと」の言葉通り、実践から失敗と成功を体感させる。そして失敗の原因を見つける思考力を身につけながら実践力を経験値にする事。それを繰り返します。ただし実践を行ってもらうためには、その先がどうなるのか?どのように変化するのか?を明確に根拠づけをして粘り強く説明をする力が必要となります。私はその部分を実際の経験と日々色々と見て実践をする施設の事例からフォローをしていくのです。
つまり現場は、この実践経験が少ないもしくは、根拠に基づいた実践でないが故に相手に不安を与えてしまうために浸透、定着しないと言えます。なのでこの現状をまず改善するためにしっかりと経験豊富であり、課題に対する問題等が出た時に的確に応える、実践で示すコンサルティングを行うわけです。そしてその手法や考え方を一緒に学ぶ事で安心して経験を積みながら実践を繰り返し実践に対する根拠を示すことができれば良い人材となります。
ここまでの過程で少なくとも2、3年はかかるわけです。そして指示待ちから自主性への変化には更に2、3年かかります。人の育成とはそれくらいに時間をかけて大切に行っていかなければ定着しないのです。せっかく育てた人材もこの期間で横着すれば去っていきます。つまり人材育成とは、力をつける事と、自法人での役割を見出していく事なのです。それが定着率と言われる数値に反映されるのです。
もう一つ大切な事、それは上層部の覚悟です。上がブレるとその下は2倍、3倍とブレます。上が不満を唱えると、それ以上に不満が発生します。一般職、役職者、管理者、経営陣と段階がある以上、トップがブレると一般職のあたりはどうなるかは想像がつくと思います。「ネガティブな発言を仕事中はしない!」このように簡単なルールが守れるか?「言葉遣いは丁寧に!」このように誰でもできる事が守れるか?
日常生活に何らかの支障をきたす人が要介護認定を受けて施設を利用している以上、職員よりは色々な面で出来ない事、分からない事が多いわけです。
だからこそモラルをもって仕事をする必要があるわけですが相手が言い返せない、理解が出来ない、だからモラルのかけらもない職員が問題を起こすのです。施設の多くはこういった事があった時にそれに対応するルールが殆どないのです。
ペナルティや罰則と言われるものです。ようするに違反をしても注意をされるくらいで終わる、事故報告書を書いて終わる、だから繰り返します。
ちなみに道路交通法のように赤信号を無視したら、点数減点、反則金が発生します。だからルールを守れる方が多いのです。介護の組織でもこのようにルールを決めておけば自分で守らないと○○のようになると分かれば問題は減少します。
これは私の教え先の法人では実施済みであり、その効果と結果が出ています。現場の方でこのペナルティを掲げると反論される方がいます。「私たちの事が信用できないのですね」「それってルールも守れない人材という事でしょうか?」のように、精神的な側面で言ってこられます。それを発する人=ルールを守れてない人を自身で申告してきているようなものです。いわゆるこのペナルティは日常守って仕事をしている方からすれば別に気にする必要もない負荷もないものなのです。色々と言ってくる人はそれが施行されることで自身に不利になる認識しているから言ってくるわけです。
もちろんこのペナルティ、施行には覚悟が少し必要です。しかしルールを定める事で問題ある職員にも更生するチャンスが生まれます。その辺りの調整こそ育成された人材がやっていくのです。このように考えていくと経営と現場良くなるには、上層部の覚悟、組織のルールを定める、ケア、取り組みの質を上げるために中身を改善する、広報活動を長期的視野で行うこと、最後に自法人の職員が「ここは楽しい職場」と本気で言えるような取り組みを行えること。外、他法人の事を知る努力をする事。これらが出来てくれば「希望が生まれる施設」になると思います。